| タイトル | 木材の直接メタン発酵技術の開発 ―放射能汚染バイオマスにも適応可能な新技術― |
|---|---|
| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
大塚 祐一郎 橋田 光 中村 雅哉 |
| 発行年度 | 2015 |
| 要約 | 粉砕処理と酵素処理を組み合わせて、木材から直接メタンを製造することを可能としました。この技術は放射能汚染バイオマスにも適応可能で、除染にも応用できる画期的なグリーンエネルギー技術として期待されています。 |
| 背景・ねらい | これまで木材を直接メタン発酵することは困難でした。なぜなら細胞壁の構造が強固でメタン発酵菌が分解できなかったからです。今回森林総合研究所が独自に開発した粉砕処理と酵素処理を組み合わせた湿式ミリングという技術により、わずか15 分の前処理で木材をそのままメタン発酵できることが明らかとなりました。これは木材から都市ガスと同じ成分のメタンガスを作ることができることを意味します。さらに、放射能汚染された木材や稲わら等にこの技術を適用すると、生産されるメタンガスには全く放射性物質が含まれず、汚染物の体積は十分の一以下になることがわかりました。そのため、除染にも応用できる新たな減容化とグリーンエネルギー生産技術として期待されています。 |
| 成果の内容・特徴 | 私達の身近な燃料“ メタンガス” メタンガスをご存知でしょうか。ガスコンロをひねると出てくる都市ガスの成分は90% 以上がメタンガスであり、私達の生活になくてはならない身近な燃料の一つです。今日、私達が使っているメタンガスは、長い年月をかけて地中深くに堆積しているものを掘り出して使っています。そのため、掘り尽くしてしまうとなくなってしまうことが心配されています。近年、日本近海の海底に蓄積したメタンガス(メタンハイドレート)が大量に存在していることがわかり、大きなニュースにもなりましたが、実際に利用するにはまだ多くの時間が必要となっています。 微生物の力を借りてメタンガスを作ることができる メタンガスは地下や海底にあるものをとってくるだけではなく、メタン菌という微生物(図1)の力を借りて自分たちで作ることができます。これまでは飼育されている牛や豚の糞尿を原料としたり、私達の生活から出てくる残飯などの生ごみを原料として、メタン菌に食べさせてメタンガスを作ることが試みられてきました。しかし、これらの原料だけでは生産量が限られています。 木材からメタンガスを作る そこで、私達は豊富な木材資源を利用してメタンガスを効率よく作ることができないか検討してきました。私達が生活している日本は、国土の約70% を森林が占める森林大国であり、かつ木材は再生可能な資源であるからです。しかし、これまで木材から直接メタン発酵によってメタンガスを作ることは不可能でした。なぜならメタンガスの原料となる木材を構成する細胞壁が強固で、メタン菌が全く分解できなかったからです。私達はこれを解決するために、木材中の微細な細胞壁でも効率よくバラバラにする「湿式ミリング」という新たな技術を開発しました(図2)。これは、小さなビーズを高速回転させてその衝撃で木材を粉砕しつつ、それと同時に酵素パワーで細胞壁成分の一部を分解する森林総合研究所独自の技術です。この新しい技術により、木材の細胞壁がナノレベルにまで粉砕できるようになり、メタン菌が発酵できるようになったのです。日本で最も多く植栽されているスギにおいても、わずか15 分の湿式ミリング処理でメタン菌が発酵できることが明らかとなりました。 放射能汚染された植物バイオマスにも応用可能 メタン菌が生産したメタンガスは空気よりも軽く、メタン発酵槽から簡単に回収することができます。放射能汚染された植物中の放射性物質は空気よりも重いため、メタンガスと一緒になることはなく、発酵残渣中に残存したままになることを確認できました。さらに、発酵により体積は元の1/10 以下になります。木材の直接メタン発酵技術は、放射能汚染バイオマスの減容化技術としても効果的であり、かつ新たなバイオエネルギー生産技術として期待されています。 本研究は、原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ「放射性物質により汚染された植物バイオマスの減量化総合処理システムの開発研究」における広島大学、静岡大学、広島国際学院大学との共同研究による成果です。また、本研究の成果は特許出願中(特願2015-021988)です。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 研究内容 | http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2015/documents/p32-33.pdf |
| カテゴリ | 豚 |
| 木質バイオマスを直接メタン発酵する技術の実証試験 ─放射能汚染バイオマスにも適応可能な新技術─ |
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