イネ稲こうじ病菌は出穂前の穎花頂部の隙間から侵入する

タイトル イネ稲こうじ病菌は出穂前の穎花頂部の隙間から侵入する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2011~2014
研究担当者 芦澤武人
発行年度 2014
要約 イネ稲こうじ病菌の分生子を穂ばらみ期の葉鞘内に注射接種すると、穎花表面で菌糸が伸展し、外穎と内穎が咬合する先端の隙間から菌糸が侵入する。
キーワード イネ稲こうじ病菌、侵入様式、穎花、菌糸、緑色蛍光タンパク質
背景・ねらい イネ稲こうじ病は穂のみに生じる病害であり、出穂前の幼穂に本菌が存在することが明らかになっている(芦澤・片岡 2005)。しかし、本菌の穎花への侵入様式は不明である。そこで、注射接種法を用いて本菌に穎花が感染する過程を解明する。得られる情報は抵抗性育種のための基礎情報となる。
成果の内容・特徴
  1. 穂ばらみ期のイネ葉鞘に緑色蛍光タンパク質GFP遺伝子を導入したイネ稲こうじ病菌の分生子を注射接種し、16°Cに2日間静置すると、穎花表面に分生子が沈着する(図1A)。
  2. 続いて26°Cで相対湿度100%の接種箱内に5日間静置すると、穎花表面の分生子は発芽して菌糸が伸展し、穎花の表面を覆う(図1B)。
  3. 生育した菌糸は、接種6日後に外穎と内穎が咬合している先端(ふ先)のわずかな隙間から侵入し(図2)、侵入菌糸は直線的に花器に向かって伸展し、花器に付着して感染する(図1C)。穎花表面やその他組織の表皮細胞からの角皮侵入はない。
  4. 出穂後である接種10日後には、花器が菌糸で取り囲まれ(図3)、開花せず、病粒形成に至る。
成果の活用面・留意点
  1. ふ先の隙間が広い品種や咬合が十分でない品種では稲こうじ病の発生が多いことの科学的根拠となり、これらの基礎情報は抵抗性育種のために活用される。
図表1 236969-1.jpg
図表2 236969-2.jpg
図表3 236969-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2014/narc14_s04.html
カテゴリ 育種 稲こうじ病 抵抗性 品種

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