植物生長調節剤散布による早生及び中生ウンシュウミカンの浮皮軽減技術

タイトル 植物生長調節剤散布による早生及び中生ウンシュウミカンの浮皮軽減技術
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2008~2014
研究担当者 佐藤景子
生駒吉識
松本光
中嶋直子
中谷章
山田芳裕
萩平淳也
井口豊
池田晴佳
水上徹
発行年度 2014
要約 早生及び中生ウンシュウミカンに対して8月中旬~9月上旬に1~3.3ppmのジベレリンと25~50ppmのプロヒドロジャスモンの混合散布を行うと浮皮を軽減できる。また、浮皮をより強く軽減し収穫時期を1~2週間計画的に遅くすることにも利用できる。
キーワード ウンシュウミカン、ジベレリン、プロヒドロジャスモン、浮皮
背景・ねらい ウンシュウミカンの浮皮は果皮と果肉が大きく分離した状態のことで、食味の低下や腐敗が増加するだけでなく、著しい場合は加工用仕向けとなり、収益性が顕著に低下する。貯蔵中の発生が多いが、収穫が遅れた場合にも発生が増加する。また、温度が高いと発生しやすく、温暖化の進行で多発する懸念がある。ジベレリン(GA)とプロヒドロジャスモン(PDJ)の混合液の散布はウンシュウミカンの浮皮軽減に有効であるが、顕著な着色遅延を伴うため、貯蔵ミカンなどの出荷までに着色遅延を回復できる作型以外では使用が困難である。しかし、貯蔵せずに出荷する早生・中生ウンシュウミカンでも浮皮が問題であるため、これらに対する浮皮軽減技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. GAとPDJの混合液を散布すると、慣行収穫期の浮皮度(平均値)は1より小さくなり、商品性の高い果実割合(浮皮度が無と軽)が80%以上となる(表1)。一方、無散布では、半数程度の果実において商品性の低い浮皮程度の中(生果の下級品等)と甚(加工用仕向け等)になる。
  2. 慣行期に収穫する早生及び中生ウンシュウミカンの浮皮を軽減するためには、9月上旬に1ppmのGAと25ppmのPDJを混合して散布、または、8月中下旬に3.3ppmのGAと25ppmのPDJを混合して散布する。これらの混合散布は、着色遅延の程度を1週間以内に抑えて浮皮を軽減できる(表2及び図1)。
  3. 表年に収穫作業が間に合わないと予想される場合等には、表2のとおり9月上旬に1ppmのGAと50ppmのPDJを混合して散布するか、3.3ppmのGAと25ppmのPDJを混合して散布する。散布により1~2週間着色が遅延するが、散布果実が十分に着色する時期(慣行収穫期の1~2週間後)まで樹上においても、浮皮度は慣行収穫期の無散布果実以下に軽減できる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:早生ウンシュウミカン及び中生ウンシュウミカン生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:早生ウンシュウミカン及び中生ウンシュウミカンを栽培している地域
  3. その他:薬剤散布の果実の糖度に対する影響は認められない。初めて技術を導入する場合には、一部の樹を選んで試験的に導入し、浮皮軽減効果や着色遅延程度を確認する。使用する薬剤コストを低減したい場合には低いGA濃度(1ppm)の条件で、安定的な浮皮軽減効果を発現させたい場合には高いGA濃度(3.3ppm)の条件で使用する。
  4. マニュアルを末尾記載のURLよりダウンロードすることができる。
図表1 237022-1.jpg
図表2 237022-2.jpg
図表3 237022-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2014/14_034.html
カテゴリ 温州みかん 加工 コスト 出荷調整 薬剤 良食味

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