トマト「桃太郎ヨーク」の収量はオランダの台木品種「Maxifort」利用により増加する

タイトル トマト「桃太郎ヨーク」の収量はオランダの台木品種「Maxifort」利用により増加する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究期間 2010~2014
研究担当者 東出忠桐
安場健一郎
中野明正
発行年度 2014
要約 トマトの日本品種「桃太郎ヨーク」の収量は、オランダの台木品種「Maxifort」に接いだ場合に共台の場合に比べて約30%高くなる。この収量増加は地上部総乾物生産の増加によるものであり、地上総乾物生産の増加は光利用効率の向上による。
キーワード 接木、光利用効率、台木、光合成速度
背景・ねらい オランダの施設栽培におけるトマト(Solanum lycopersicum)の収量は、生産技術や多収品種の育成(平成21年度研究成果情報「オランダの施設トマト品種の多収化の要因は光利用効率向上である」)によってこの数十年で大幅に増加している。一方、日本では、「桃太郎」に代表される品種で果実の乾物含量当たりの糖度が高く、それ以前の品種よりも水分含量が高いのにもかかわらず糖度が高いといった品質面での改良はみられるが、多収品種はあまり育成されていない(平成24年度研究成果情報「日本のトマト品種改良は多収化させず、果実糖度を高めて水分含量は維持した」)。日本におけるトマトの収量向上のためには、多収品種の利用が最も効果的であると思われるが、オランダの多収品種の果実品質が日本の消費者や小売業者にそのまま受け入れられることは考えにくい。したがって、現時点ではこれまでに発表された国内品種を用いて多収化を目指す必要がある。そこで、接木による日本のトマト品種の収量の向上と収量変化の要因を解明するため、日本およびオランダのトマト品種「桃太郎ヨーク」(ヨーク)および「Gourmet」(グルメ)を、両国の台木品種「スパイク23」(スパイク)および「Maxifort」(S. lycopersicum × S. habrochaites)(マキシ)に接木して収量と乾物生産への影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 「桃太郎ヨーク」の収量は、オランダの台木品種「Maxifort」に接いだ場合に、「桃太郎ヨーク」を台木として接木した場合よりも有意に(約30%)高い(図1)。
  2. 収量と乾物重収量との間のみならず、収量と地上部総乾物生産との間にも有意な強い相関がみられる。(表1)。
  3. 地上部総乾物生産と光利用効率(作物群落の積算受光量に対する総乾物生産の効率)との間にも非常に強い有意な相関がみられる(図2A)。一方、地上部総乾物生産と積算受光量との間には有意な相関はみられないことから(r = 0.46、P = 0.36)、地上部総乾物生産の違いは光利用効率の違いによるものといえる。
  4. 光利用効率と、最大光合成速度および気孔コンダクタンスとの間には有意な相関はみられない(図2B、C)。また、最大光合成速度には台木の違いによる有意な差はみられず、最大光合成速度と気孔コンダクタンスとの間にも有意な相関はみられないことから(図2D)、光利用効率の違いに最大光合成速度や気孔コンダクタンスは関与していないとみられる。
成果の活用面・留意点
  1. 試験は、ロックウール・ハイワイヤー栽培にて10~3月に愛知県武豊町で行っている。土耕や自根での比較は行っていない。
図表1 237068-1.jpg
図表2 237068-2.jpg
図表3 237068-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/vegetea/2014/vegetea14_s04.html
カテゴリ 施設栽培 収量向上 台木 トマト 品種 品種改良

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