密閉縦型堆肥化装置および脱臭装置からの温室効果ガスの排出係数測定事例

タイトル 密閉縦型堆肥化装置および脱臭装置からの温室効果ガスの排出係数測定事例
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2011~2014
研究担当者 安田知子
土屋いづみ
長田隆
石田三佳
長谷川三喜
発行年度 2014
要約 養豚農家で実稼働している密閉縦型堆肥化施設からの一酸化二窒素、メタン、アンモニアの排出係数は、調査平均で0.10%(g N2O-N/g N)、0.06%(g CH4/g 有機物)、9.44%(g NH3-N/g N)であり、脱臭排気ではメタンが減少する傾向がある。
キーワード 温室効果ガス、気候変動、排出係数、密閉縦型堆肥化施設、木材チップ脱臭
背景・ねらい 家畜排せつ物の一般的な処理方法である堆肥化過程からの温室効果ガス(GHG)発生は、日本国温室効果ガスインベントリ報告書で強制発酵と堆積発酵の2区分で排出係数が示されている。養豚農家では密閉縦型堆肥化施設が主要なふん尿処理方法の一つであるものの、GHG発生実態については明らかとなっていない。さらに、堆肥化施設は悪臭苦情の対象となりやすく脱臭施設を併設する場合が多いため、養豚農家で利用される密閉縦型堆肥化施設と後段の脱臭施設からのGHG排出量を把握する。
成果の内容・特徴
  1. 調査対象施設の発酵槽41m3の密閉縦型堆肥化施設の排気を処理している木材チップ脱臭槽からのGHG発生量は、ビニールシートで脱臭装置の全体を密閉し、排気をひとつの管に集約し、ガスを脱臭槽への流入排気量より多めに送風機で吸引することでほぼ全量を回収し、ガス濃度と風速を測定することで把握できる(図1)。
  2. GHG排出係数は、搬入された堆肥原料中の窒素あるいは有機物あたりの発生割合で評価される(IPCC2007)。密閉縦型堆肥化施設からの排出係数は寒冷期の調査I(2月22日~3月15日)では一酸化二窒素は0.08%、メタンは0.01%、アンモニアは1.81%であり、冷涼期の調査II(10月25日~11月12日)ではそれぞれ0.12%、0.12%、17.07%である(表1)。一酸化二窒素とメタンは、現行インベントリの強制発酵の値と同等(一酸化二窒素0.16%、メタン0.08%)である。
  3. 脱臭排気ではメタンが減少する傾向がある。一方、木材チップのpHが約9まで上昇しており、アンモニアの除去性能は低下していた。調査期間中の脱臭槽排気アンモニア量が発酵槽排気より増大しているが、脱臭槽の下部に蓄積していた窒素分を併せて回収したことなどが要因と推定される。
  4. 調査IとIIの外気温の平均はそれぞれ4.9°C、13°Cであり、堆肥原料中の窒素の日発生量は、調査I、IIでそれぞれ21.5~29.1 kg N、25.7~34.3 kg Nであり、有機物(強熱減量)は、調査I、IIでそれぞれ449~591 kg N、410~553 kg であった
成果の活用面・留意点
  1. 養豚農家で普及している密閉縦型堆肥化施設からのGHG発生のインベントリ精緻化に資する成果である。
  2. 脱臭資材のpHが高い状態では、シートによる被覆や風量の制御などの試験条件がアンモニア揮散に影響を与える可能性がある。
図表1 237106-1.jpg
図表2 237106-2.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2014/nilgs14_s18.html
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