ヨーロッパ腐蛆病菌典型株/非典型株の迅速な検出•識別法の開発

タイトル ヨーロッパ腐蛆病菌典型株/非典型株の迅速な検出•識別法の開発
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2011~2014
研究担当者 髙松大輔
荒井理恵
秋山徹
奥村香世
森永結子
呉梅花
杉村祐哉
芳山三喜雄
大倉正稔
切替照雄
発行年度 2014
要約 新たに開発したヨーロッパ腐蛆病菌遺伝子検出用Duplex PCR法は、既報のPCR法より特異性に優れ、性状の大きく異なる典型株と非典型株を識別することができる。また、ミツバチ幼虫から菌の遺伝子を直接検出することが可能であり、迅速な診断に有用である。
キーワード ミツバチ、ヨーロッパ腐蛆病、Melissococcus plutonius、遺伝子検出法
背景・ねらい ヨーロッパ腐蛆病菌(Melissococcus plutonius)はミツバチの家畜伝染病であるヨーロッパ腐蛆病の病原体である。本菌の株は発育性状や生化学性状の違いから典型株と非典型株に分けることができ、両タイプの間ではミツバチ幼虫に対する病原性も異なる可能性が示唆されている。従って、今後、より有効なヨーロッパ腐蛆病対策を考える上で、野外の各症例の原因となっている株のタイプを識別し、本病の疫学情報を蓄積することが重要となる。しかし、培養による菌の分離と性状の違いを基にした株の型別には長い時間と多大な労力を要する。また、16S rRNA遺伝子を標的とした既報のヨーロッパ腐蛆病菌同定用PCR法では、株のタイプを識別することができない。そこで本研究では、ヨーロッパ腐蛆病の診断や本病の疫学研究に利用できる新たなヨーロッパ腐蛆病菌検出法として、特異性が高く、分離培養を行わずに直接幼虫から原因菌を検出でき、さらに性状解析を行わずに迅速に典型株と非典型株を1つの反応で識別することが可能なDuplex PCR法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 本Duplex PCR法では、ヨーロッパ腐蛆病菌のゲノム情報を基に、典型株を検出するための標的遺伝子としてNa+/H+ antiporter遺伝子を、非典型株を検出するための標的遺伝子としてFur family transcriptional regulator 遺伝子を選択し、それぞれ187 bpおよび424 bpの増幅産物が得られるようにプライマーが設計されている。
  2. 本法では、典型株特異的PCRと非典型株特異的PCRを1つの反応液中で行うため、サンプル中に典型株のDNAのみが存在した場合は187 bpの産物のみが、非典型株のDNAのみが存在した場合は424 bpの産物のみが増幅され、両タイプのDNAが混在していた場合は両方のサイズの産物が増幅される(図1)。
  3. 本法では、ヨーロッパ腐蛆病菌からは典型株または非典型株に特異的なPCR産物のみが得られる(図1)。菌種間で配列の保存性が高い16S rRNA遺伝子を標的とした既報のPCR法では、本病の二次感染菌の一つであるEnterococcus faecalisから、特異的PCR産物と区別できないサイズの非特異産物が増幅される場合がある。しかし、本Duplex PCR法では、E. faecalisを含むヨーロッパ腐蛆病菌以外の約30菌種から、非特異産物の増幅は認められておらず、特異性の高い遺伝子検出法として有用である。
  4. 典型株・非典型株ともに1反応あたり50コピー程度の染色体DNAがあれば検出可能であり、ヨーロッパ腐蛆病発症幼虫から抽出したDNAを用いて、幼虫内のヨーロッパ腐蛆病菌を直接検出することもできる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:家畜保健衛生所等の病性鑑定担当者、蜂病の研究者•検査担当者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国
  3. その他:各種研修会を通じて、全国の家畜保健衛生所等の病性鑑定担当者にむけて情報発信を行うとともに、病性鑑定指針(農林水産省 消費・安全局)の改訂時に腐蛆病の検査法の一つとして、本法の情報を記載した。尚、確定診断のためには、他の検査項目と合わせて総合的に判断する必要がある。
図表1 237114-1.jpg
図表2 237114-2.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2014/14_048.html
カテゴリ ミツバチ

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