シバ優占放牧草地における不食パッチによる種多様性の維持

タイトル シバ優占放牧草地における不食パッチによる種多様性の維持
担当機関 中国農業試験場
研究期間 1998~1999
研究担当者 井出保行
高橋佳孝
佐藤節郎
周 進
内藤和明
齋藤誠司
発行年度 1998
要約 シバ優占の放牧地では、家畜が採食しない草丈の高いパッチが生じ、この不食パッチには秋期に開花する高茎草本多く分布する。種多様性の高い植物群落に導くためには、不食パッチの存在が不可欠である。
背景・ねらい シバ型草地での放牧は、在来草種を利用した省力的な放牧形態として、また自然環境の保全等に配慮した放牧形態として、近年再評価されている。しかし、集約的な放牧利用は、時として群落の種多様性の低下を招き、自然保護の観点から問題を生じることが少なくない。そこで、放牧草地に特徴的なパッチ構造と種組成の関係に注目し、シバ優占放牧草地における構成種の分布上の特徴を明らかにした。
成果の内容・特徴
  1. 毎年1回冬期に刈払いを行ない、黒毛和種成雌牛を約1頭/haの密度で連続放牧しているシバ型の野草地では、6月頃に草丈30cm以上の不食パッチが形成される。パッチの成因は、有刺植物や糞およびそれらの周囲を牛が採食しないためである。8月にはパッチの面積が全体のおよそ20%を占め、その後は秋期までパッチの位置および面積はほとんど変化しない(図1)。
  2. 草丈の高いパッチの中には、草丈の低い採食場所には出現しない高茎草本が生育しており、草地全体の種多様性を高めている。秋期の1㎡当たり平均出現種数は、草丈の低い場所で12.4種(最小7、最大22種)、草丈の高いパッチで18.1種(最小11、最大24種)である(表1)。
  3. 秋咲きの草本の多くは、パッチ内で密度が高く、開花・結実も順調に行なわれる(表2)。調査対象種のうち、センブリ一種のみはパッチに分布せず草丈の低い場所(採食地)にのみ分布していた。
  4. 採食場所で種組成が単純化しやすいシバ型放牧地において、種多様性を向上させるためには、不食パッチの存在が不可欠であり、種多様性の高い植物群落を目標とすれば、草地内に不食パッチが残るように、放牧密度を高めすぎないことが必要。
成果の活用面・留意点
  1. 多種類の在来植物が生活史を完結する条件を整備し、多様性の高い放牧地を造成・維持する上での基礎的知見として活用できる。
  2. 冬期以外に不食地の刈払いを行なう際には、草本植物の開花・結実時期を避けるか、全面刈りをせずに部分的に不食地を残す等の配慮を必要とする。
図表1 224938-1.JPG
図表2 224938-2.JPG
図表3 224938-3.JPG
カテゴリ せんぶり

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