豚コレラ清浄性確認検査で見出されたわが国初の羊のボーダー病ウイルス

タイトル 豚コレラ清浄性確認検査で見出されたわが国初の羊のボーダー病ウイルス
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2012~2014
研究担当者 大橋誠一
亀山健一郎
山川睦
筒井俊之
松浦勝美
磯部尚
山田俊治
川西菜穗子
発行年度 2014
要約 豚コレラ清浄性維持確認のための検査で高率に抗体陽性を示す豚群から検出されたウイルスは、豚コレラウイルスや牛ウイルス性下痢ウイルスではなく、国内初となる羊のボーダー病ウイルスである。
キーワード ボーダー病ウイルス、ペスチウイルス、持続感染豚、病性鑑定
背景・ねらい わが国は2007年に豚の重要な伝染病である豚コレラの撲滅を達成した。その後、豚コレラの侵入を監視するため、家畜保健衛生所では定期的に清浄性確認を目的とした抗体検査を実施している。豚コレラの原因である豚コレラウイルスは、牛を宿主とする牛ウイルス性下痢(BVD)ウイルスや羊を宿主とするボーダー病ウイルスと同じペスチウイルスに分類される。わが国には牛においてBVDが常在的に認められているものの、羊のボーダー病は存在しないとされている。豚コレラウイルス、BVDウイルスおよびボーダー病ウイルスは互いに抗原的に類似性の高いことから、抗体との反応において交差反応を示す。そのため、これまでに実施された豚コレラ清浄性確認検査のなかで、時折BVDウイルスの豚への感染による抗体陽性例がみつかることがあった。2012年、1養豚場で豚コレラウイルスに対するELISA検査によって高率に抗体が検出された(表1)。これにより、県から病性鑑定の依頼があり、原因究明を行った。
成果の内容・特徴
  1. 豚コレラウイルスの侵入やBVDウイルスの感染が疑われたが、分離されたウイルス(FNK2012株)はボーダー病ウイルスである(図1)。国内で初めて分離されたボーダー病ウイルスは、羊や牛などの反芻獣ではなく、特徴的な症状の見られない豚に由来する(表2)。
  2. 豚群での高い抗体陽性率の原因は、極めてまれな事例であるボーダー病ウイルスの持続感染豚が農場内の感染源となっていることを突き止めた(表2)。
  3. 持続感染豚は、感染後ウイルスは排泄するが抗体を産生しないため、抗体検査による摘発は困難である。そのため本事例のように、ペスチウイルスを検出するRT-PCR法によって持続感染豚を摘発・排除し、ウイルスを場外に漏えいさせないことが対策として重要となる。
成果の活用面・留意点
  1. 反芻獣由来のペスチウイルスは豚に感染することがあるため、豚と反芻動物である牛や羊との接触は避けるべきである。
  2. 今回の事例のように、抗体検査では発見できない持続感染動物の摘発にはペスチウイルスを検出するRT-PCR法が有用である。
  3. RT-PCR法による検査は、採材が容易な鼻腔スワブで実施可能である。
図表1 237122-1.jpg
図表2 237122-2.jpg
図表3 237122-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2014/niah14_s04.html
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