モノクローナル抗体を用いた高感度口蹄疫抗原検出ELISA

タイトル モノクローナル抗体を用いた高感度口蹄疫抗原検出ELISA
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2011~2012
研究担当者 森岡一樹
深井克彦
北野理恵
吉田和生
山添麗子
菅野徹
発行年度 2014
要約 口蹄疫ウイルス感染試験により得られた材料および2010年口蹄疫発生時の野外材料を用いた検証試験において、我々が開発した抗原検出ELISA (MSD-ELISA) は現行法の間接サンドイッチELISA(IS-ELISA)より高い検出感度を示す。
キーワード 口蹄疫、抗原診断、血清型別、ELISA
背景・ねらい 口蹄疫(FMD)は伝染性が強く、その防疫には正確かつ迅速な診断が必要とされる。また、ワクチンおよび診断キットの準備等の面で、7つある血清型を早期に型別することが重要である。現行のFMDウイルス(FMDV)検出法にはFAOおよびOIEが指定したWorld Reference Laboratory(WRL)が作製する血清型別が可能な間接サンドイッチELISA(ISELISA)を用いるが、検出感度は高くない。遺伝子検出法を用いた高感度な血清型別の報告はあるが、遺伝子性状が多様な FMDVへの使用には充分な検証がなされていない。我々はこれまでに各血清型に対するモノクローナル抗体(MAb)を作製し、FMDV検出のためのMAb based sandwich direct(MSD)-ELISAを確立している。MSD-ELISAには血清型を問わずFMDVを検出可能なmulti-serotypes(MS)と血清型O、A、C、Asia1を識別可能なsingle-serotype(SS)の両検出系がある。本研究では、FMDV(血清型O、A、Asia1)を感染させた豚から採取した唾液および2010年の口蹄疫発生時の野外材料を用いてMSD-ELISAの抗原検出感度について検証する。
成果の内容・特徴
  1. O/JPN/2000株、A15 TAI 1/60株およびAsia1 Shamir株の実験感染豚から得られた唾液材料のうち、遺伝子検出法で陽性を示した材料から、MSD-ELISAはIS-ELISA比べ高感度にウイルス抗原を検出する。また、MSD-ELISAにおいてはMSの系よりSSの系の方が高い検出率を示す(表1)。
  2. 2010年の口蹄疫発生時に遺伝子検出法で陽性を示した野外材料(口腔・鼻腔スワブおよび病変部組織10%乳剤の計178検体)では、IS-ELISAで9%と低い検出率を示したのに対して、MSD-ELISAはMSの系で57%、SS血清型Oの系では64%と高い検出率を示す。また、遺伝子検出法で陽性の家畜を含む農家を陽性農家とした場合、陽性農家の検出率もIS-ELISAに比べて約6倍高い検出率をMSD-ELISAは示す。また、MSD-ELISAにおいてはMSの系よりSSの系の方が高い検出率を示す(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. さらに多くのウイルス株を用いた検証試験を重ねることが遺伝子多様な性状を示す口蹄疫ウイルス抗原検出法の開発には必要である。将来的にはWRL のIS-ELISAに代わる高感度手法として、口蹄疫の病性鑑定への使用が期待される。
  2. 本法で用いる高感度なMAbを利用したイムノクロマトグラフィーによる迅速簡易診断法の開発を推進している。
図表1 237129-1.jpg
図表2 237129-2.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2014/niah14_s11.html
カテゴリ 簡易診断

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