携帯端末とインターネットによる小規模水利施設の機能診断・情報管理システム

タイトル 携帯端末とインターネットによる小規模水利施設の機能診断・情報管理システム
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2014~2014
研究担当者 國光洋二
発行年度 2014
要約 多面的機能支払の対象地域における小規模水利施設の点検時に、携帯端末を用いて収集する簡易機能診断調査結果と現場写真の情報をもとに、インターネットを経由して施設に対するライフサイクルコスト(LCC)評価と情報管理を行うシステムである。
キーワード 携帯端末、簡易機能診断調査、LCC評価、多面的機能支払
背景・ねらい 小規模水利施設の長寿命化のため、多面的機能支払の対象地域等における地域住民による施設点検が進められている。今後、地域住民が主体となって点検結果の情報を体系的に蓄積し、水利施設の状況を定量的に把握することにより、ストックマネジメント施策と施設管理に対する関係者間の合意形成と施設更新の計画的実施を図ることが重要である。
本成果は、携帯端末とインターネットを活用し、施設の状況分析(機能診断、LCC評価、更新時期の予測)及び地図とリンクした情報管理(施設写真による補修履歴等)を一体的に実施するシステムである。これまで、紙ベースで定性的に行われ、データ整理に多大な時間を要してきた小規模農業水利施設の機能診断・評価について、携帯端末を利用して簡単に定量評価と情報管理ができ、多面的機能支払の対象地域において、高度な専門知識がない利用者でも活用できる。
成果の内容・特徴
  1. 地域住民等のユーザーが、現地で携帯端末のアプリケーションを起動し、小規模な水利施設を対象に目視による機能診断調査を実施する。合わせて、補修・改修が必要な施設の写真を撮影する。これらの情報をインターネットを経由してサーバー上に蓄積し、ユーザーのPC上で施設の状況分析と地図と連携した情報管理を実施する(図1)。
  2. 簡易機能診断調査については、大規模水利施設の診断項目を参考に、ユーザーが目視により5段階(S-5~S-1)で機能別に評価が可能な項目を選定しており、U字溝・コンクリート開水路、柵渠・矢板水路、コンクリート構造物等の工種別に分かれる(図2)。また、施設の状況分析では、サーバー上にあらかじめ用意した整備単価データベースを活用してLCC評価や将来の更新時期を予測し、その結果は、VIMS等のGISソフトないしgoogle mapの地図とリンクして情報を視覚的に管理・蓄積する(図3)。
  3. LCC評価のための施設の健全度総合評価値の計算では、対象地区全体の総合評価が可能なように、施設ごとの資産価値(再建設費)による加重平均値で指標化している。なお、施設の資産価値は、資本ストック計算で用いられる物理ストック法に準拠して標準的な施工単価で定量化している(図4の式(1)、(2))。
  4. 施設の更新時期の推定式は、大規模水利施設を対象に提示されている水路の劣化曲線(農林水産省関東農政局、2007)をもとに、対象地区全体の施設が調査時点からS-1 に到達するまでの時期を予測する(図4の式(3))。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:多面的機能支払対象地区の地域住民及び小規模水利施設の保全・管理者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国の農振農用地のうち約200万ha
  3. その他:本システムは、農村工学研究所のホームページで参照可能なウェブアドレスからアプリケーション等をダウンロードして利用できる。携帯端末とPC上でのシステムの利用には、それぞれAndroid及びgoogle chromeが必要である。ただし、施設の資産価値は、標準的なケースの概算値であり、工事発注等の場合は別途積算が必要となる。
図表1 237150-1.jpg
図表2 237150-2.jpg
図表3 237150-3.jpg
図表4 237150-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2014/14_071.html
カテゴリ 管理システム コスト ストック データベース 水管理

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