タイトル |
アクアガスバインダによる食品粉末の造粒技術 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 |
研究期間 |
2011~2014 |
研究担当者 |
五月女格
|
発行年度 |
2014 |
要約 |
微細水滴を含んだ過熱水蒸気であるアクアガスを、気液二相バインダとして微粉末に噴霧すると、少ない水分添加で顆粒を造粒することができる。この技術では粉末食品や医薬品、化学製品、農薬などの顆粒・打錠末の造粒を効率的に行なうことができる。
|
キーワード |
省エネルギ、生産効率向上、インスタントスープ、粉末食品、アクアガス
|
背景・ねらい |
インスタントスープ・茶・コーヒー等の粉末食品は、微粉末の状態では流動性が低く凝集性が高いため、計量や充填が難しく、また湯や水に溶かす際にダマになり溶け残りが発生しやすい。この問題を解決するため、多くの粉末食品は粉末の粒子同士を結着させて、サイズの大きな顆粒状に造粒されている。粒子を結着させるためのバインダには通常は水や多糖類水溶液が使用されるため、造粒後には顆粒の乾燥が必要となる。少ない水分添加量で顆粒を生成できれば、造粒時間およびその後の顆粒の乾燥時間が短縮され、造粒プロセスの効率化、コスト低減、省エネルギ化が可能となる。微細水滴を含んだ過熱水蒸気(アクアガス)を流動層造粒のバインダとして使用することにより、少ない水分添加量で効率的な造粒を行なう技術を開発する。
|
成果の内容・特徴 |
- 容器底面からの気流により撹拌されている粉末に、バインダ液滴を噴霧して造粒を行なう流動層造粒機に、バインダ液滴噴霧器の代わりにポンプと熱交換器からなるアクアガス発生装置を図1のとおり接続すると、水蒸気と水の気液二相バインダを用いた流動層造粒を行なうことができる。
- 水蒸気を粉末に噴霧すると、速やかに顆粒が成長する。これは水蒸気が凝縮することにより粉末の粒子表面を濡らして、粒子同士を効率的に結着させているためと考えられる(図2)。しかしながら水蒸気のみをバインダとして流動層造粒を行なうと、顆粒サイズのバラツキが大きくなり、粒子径数mm~数cmの粗大な粒の発生が多くなる。これは水蒸気には大きな顆粒をより成長させる作用があるためと考えられる。水蒸気に水滴が混ざったアクアガスバインダを使用すると、サイズのそろった顆粒が生成される。これは水滴によって生成された顆粒の成長核が、水蒸気によって成長することによると考えられる。
- コーンスターチ800gおよびデキストリン200gを混合した試料に対して、多糖類水溶液(グアーガム0.15%水溶液)をバインダとして毎分10gで添加した場合と比較すると、アクアガスを添加した場合、平均粒子径(体積中位径)約120μm の顆粒を生成するために必要なバインダ量は、約60%削減される(図3)。これにより造粒時間が約60%、顆粒の乾燥時間が約15%短縮可能となる。またこの時の顆粒の四分位散布係数は多糖類水溶液バインダでは0.49であり、アクアガスバインダでは0.78であった。
- アクアガスバインダによる造粒技術は、食品製造事業者によりインスタントスープ等の粉末食品の造粒に使用されており(図4)、これまで約1400トンのインスタントスープが製造されている。
|
成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:食品製造事業者、農薬製造事業者、医薬品・化学製品製造事業者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:国内および製薬・化学工業が盛んな北米、EU諸国、オーストラリア、中国、韓国、インド。
- その他:原料となる粉末は水溶性、あるいは水溶性成分が20%以上含まれているものが望ましい。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2014/14_068.html
|
カテゴリ |
病害虫
乾燥
省エネ・低コスト化
茶
低コスト
農薬
|