リスク情報の理解度に影響する説明表示法

タイトル リスク情報の理解度に影響する説明表示法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2011~2014
研究担当者 和田有史
朴ソラ
増田知尋
村越琢磨
川﨑弥生
内海建
木村敦
小山慎一
日比野治雄
日野明寛
発行年度 2014
要約 文章とグラフもしくはイラストによる残留農薬量の説明を見た実験参加者で農薬量と対応した食品の安全性評価をできた人数を集計する。従来のグラフの付加ではADIとNOAELの評価順位の逆転による誤答が多いが、イラストの付加では課題成績が高まる。
キーワード 心理学、表示法、残留農薬量、評定尺度法
背景・ねらい 食品の安全性についての情報は、一般消費者にとってわかりにくい場合が多い。そのため、グラフの活用などの試みがなされているが、その効果を数量化することは困難である。そこで本研究では、適切な残留農薬量の理解を促すため、簡便なイラストによる表記を新たに開発し、従来のグラフ表記と、理解度を比較することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 大学生および大学院生80人を対象に横断研究を行う。(a)文章のみ (図1-a)、(b)累積正規分布関数のグラフ (図1-b) と文章、(c)農薬量を一次元で示したデザインのイラスト(図1-c) と文章の3種類の説明表記のうちどれか1種類を添付した質問紙を配布する。
  2. 回答は、無毒性量(NOAEL)、一日摂取許容量(ADI)、残留農薬基準の3段階の残留農薬条件以下の農薬が残留している架空の農産物について、安全性に関わる3つの質問項目に線尺度法を用いて評定させる。
  3. 安全性評価の評定値の相対的な大きさが残留農薬量の順序と一致した場合を正答者と条件ごとに正答率を算出した。安全性評価の評定値についての分散分析を行ったところ、どの表示条件下でも残留農薬基準がADIとNOAELよりも高く評価される(図2-a)。正答率についてχ2検定を行ったところ、すべての質問項目で正答率に有意な偏りがみられる(p<0.05、 図2-b)。残差分析の結果、「文章のみ」では正答率は期待値との差はないことが示される(41.4~55.2%)。また、「文章+グラフ」では、"どの程度安全であると感じるか"、"自分が食べようと思うか"という質問で期待値よりも正答率が低い(16.7~33.3%)一方で、「文章+イラスト」条件では正答率が期待値よりも一貫して高いことが示される(59.3~70.4%)。このように、文章へのグラフの付加は残留農薬量の適切な理解を促進しないが、イラストの付加は促進することが示唆される。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究は、従来用いられている累積正規曲線を用いたグラフなどが対象者や条件によっては効果が低く、それに関する設問に対して妨げになることがある事、消費者集団の理解の程度を関連問題について評定尺度の評定値や正答率という形で数量化することが可能である事を示し、情報提示法の人間の理解に対する効果測定に活用しうる。
  2. 本研究結果は、限られた集団の限られた設問での成績を示しているため、より一般的な理解や、異なる対象に対する理解度、ツールの効果等を知るためには、より大規模な調査や、案件に適した実験などを追加して行う必要がある。
図表1 237187-1.jpg
図表2 237187-2.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2014/nfri14_s04.html
カテゴリ 病害虫 農薬

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