澱粉の酵素分解性に対するキサンタンガムの制御機構の解明

タイトル 澱粉の酵素分解性に対するキサンタンガムの制御機構の解明
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2012~2014
研究担当者 佐々木朋子
発行年度 2014
要約 キサンタンガムは澱粉の消化酵素による分解を抑える効果が高く、澱粉摂取直後の血糖値上昇を抑制する。キサンタンガムの示す高い粘度上昇作用と、澱粉粒に吸着する作用がこれらの抑制効果に関与している。
キーワード キサンタンガム、澱粉の酵素分解性、血糖値上昇抑制効果、粘度、相互作用
背景・ねらい 食後血糖値の上昇抑制を期待し、緩やかに消化される澱粉素材および澱粉系食品の開発が求められている。澱粉の消化酵素による分解速度には、食品中に存在する共存成分が影響を及ぼしており、多糖類にも澱粉の酵素分解性に対して抑制作用を示すものがある。これまでに多糖類の中では、キサンタンガムが顕著に高い抑制効果をもつことを明らかにしている。本研究ではキサンタンガムと澱粉の相互作用および澱粉との混合試料の粘度を解析し、他の多糖類と比較することによってその制御機構を明らかにすると共に、ラットを用いた澱粉負荷試験を行い、キサンタンガムの食後血糖値上昇抑制効果を検証する。
成果の内容・特徴
  1. 澱粉の酵素分解性に対するキサンタンガムの抑制効果は、生澱粉だけではなく、短時間で急速に消化される糊化澱粉に対しても見られ、その抑制効果は他の多糖類と比較すると高い(図1)。
  2. 馬鈴薯澱粉に各種多糖類を添加すると粘度上昇効果が認められるが、キサンタンガムの効果は極めて高く(図2)、また澱粉糊化時のピーク粘度と澱粉分解率との間に有意な相関性が認められるため、粘度上昇効果が酵素分解性の主な制御要因であることが推察される。
  3. 水晶振動子上に固定化した馬鈴薯由来のアミロペクチンに、各種多糖類を添加したところ、キサンタンガムのみにおいて、固定化されたアミロペクチン層に吸着したことを示す周波数の減少が見られる(図3)。さらに、アミロペクチンにキサンタンガムが吸着した状態で、澱粉分解酵素を添加してもアミロペクチンはほとんど分解されず、酵素に対して強い阻害作用を示す。澱粉粒にキサンタンガムが吸着することによって、澱粉の酵素分解性を抑制していると考えられる。
  4. ラットを用いた澱粉負荷試験では、キサンタンガムを馬鈴薯糊化澱粉に添加した試料群は対照群と比較して、投与30分後の血糖値を有意に下げるが(図4)、60分以降では効果が見られないため、キサンタンガムの澱粉酵素分解性に対する抑制効果は澱粉摂取直後の血糖値上昇にのみ関与している。
成果の活用面・留意点
  1. 澱粉の酵素分解性に対するキサンタンガムの作用機構、および食後血糖値に及ぼす影響が明らかになり、血糖値上昇抑制効果を目指した食品への利用が期待できる。
  2. 澱粉と多糖類の単純な混合系だけではなく、食品の形態でのキサンタンガムの作用を検証する必要がある。
図表1 237194-1.jpg
図表2 237194-2.jpg
図表3 237194-3.jpg
図表4 237194-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2014/nfri14_s11.html
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