転炉スラグを用いた土壌pH矯正による土壌伝染性フザリウム病の被害軽減

タイトル 転炉スラグを用いた土壌pH矯正による土壌伝染性フザリウム病の被害軽減
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2012~2014
研究担当者 門田育生
森本晶
永坂厚
今﨑伊織
後藤逸男
大島宏行
岩間俊太
倉内賢一
清藤文仁
米村由美子
谷川法聖
岩舘康哉
大友令史
冨永朋之
菅広和
小山田早希
関根崇行
大場淳司
辻英明
玉手英行
村主栄一
宍戸邦明
常盤秀夫
荒川昭弘
山田真孝
畑有季
発行年度 2014
要約 転炉スラグを原料とした石灰肥料を施用して土壌pHを矯正すると土壌伝染性フザリウム病の被害が軽減し、土壌pH7.5前後までは微量要素欠乏による生育の影響は見られない。また、耐病性品種の利用や太陽熱消毒との併用も可能である。
キーワード :転炉スラグ、土壌伝染性フザリウム病、土壌pH、被害軽減
背景・ねらい 土壌伝染性フザリウム病は120種以上の作物に発生することが知られており、各種作物に広く適用が可能な新たな防除技術の開発が求められている。本病は、土壌pHが高くなるにつれて被害が減少する傾向があることが既に報告されているが、従来使用されてきた消石灰、炭酸カルシウム等の石灰肥料で土壌pHを高めに矯正すると微量要素欠乏症が引き起こされる場合があり、効果的な被害軽減対策とはなっていない。そこで、微量要素を豊富に含む転炉スラグを原料とする石灰肥料で土壌pHを矯正し、微量要素欠乏による生育への影響が生じず、土壌病害の被害を軽減する技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 転炉スラグで土壌pHを矯正すると、各種作物に発生するフザリウム病の発病度が低下し被害が軽減される(図1、2)。pH7.5程度の矯正であれば、微量要素欠乏による生育の影響は見られない(表1)。
  2. レタス根腐病やイチゴ萎黄病において、品種の耐病性が異なる場合でも土壌pH矯正による被害軽減効果は認められる。また、太陽熱消毒との併用も可能である(図1)。
  3. 細菌性病害であるトマト青枯病に対しても被害軽減効果がある一方で、バーティシリウム属菌によるナス半身萎凋病については被害が助長される事例がある(図1)。
  4. 転炉スラグを土壌施用してもフザリウム属菌の生存には影響しない(図3)。したがって、被害軽減機構は殺菌効果によるものではないと考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:野菜生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:東北地域を中心とした土壌伝染性フザリウム病発生地域に50ha
  3. その他:土壌pH矯正手法だけを導入するのでは十分な被害軽減効果が得られない場合がある。そこで、研究成果集に記載されている事項を参考にしながら、品種の耐病性の強弱、前年の発病程度、他の防除技術との併用、土壌診断に基づく施肥・栽培体系を踏まえて総合防除体系を構築する。転炉スラグを10a当たり2t施用する場合、資材費は約6万円程度であり、3~5年程度は土壌pHが維持される。一方、例えばクロルピクリン剤による土壌消毒は1回当たり4~10万円であり、毎年処理する必要がある。
図表1 237249-1.jpg
図表2 237249-2.jpg
図表3 237249-3.jpg
図表4 237249-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/tarc/2014/14_044.html
カテゴリ 肥料 病害虫 萎黄病 いちご 栽培体系 施肥 耐病性品種 土壌消毒 土壌診断 なす 品種 防除

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