タイトル |
半自動野菜移植機によるカンショ小苗植付技術 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
2011~2014 |
研究担当者 |
杉本光穗
石井孝典
岡田英博
村並昌実
大久保嘉彦
大村幸次
馬門克明
溜池雄志
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発行年度 |
2014 |
要約 |
茎長15cmのカンショ苗を圃場に植付けるために、半自動野菜移植機に苗の強制落下のためのブロワと枯死率減少のための灌水装置を装着する。作業能率は1.6時間/10a機械的欠株率は約5%以下、枯死率は4%以下、生存率は90%以上である。
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キーワード |
サツマイモ、小苗、挿苗、植付、半自動野菜移植機
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背景・ねらい |
カンショ栽培では、選択的採苗のため育苗に関わる機械化が難しく高齢化等による従事者不足に対応していない。茎長15cmの小苗の養液育苗法により一斉採苗作業を可能とした。しかし、小苗の植付作業に対応した作業機がないため、市販の半自動移植機を改良し、小苗の植付作業能率と苗の枯死率を減少させることが可能な植付技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- カンショ小苗用移植機は、半自動野菜移植機(井関農機(株)製、PVH190)をベース機として、苗の強制落下のためのブロワと枯死率減少のための灌水装置を装着している(図1)。機体の大きさは全長1,900mm、全幅1,360mm、全高1,200mm、全重180kg である。また、植付間隔は13~40cmの13段階、潅水量は10、15、20ml の3段階調整でき、植付深さ10cmを確保することができる。
- ブロワは、開孔口への苗の落下供給を促すためで、落下供給位置にある苗収納カップの上方から圧縮風を供給するエアノズルを設け、動力源はバッテリである。また、灌水装置は、開孔口内へ向けて吐出する灌水ノズルを設け、開孔口の上下動に連動した潅水ポンプにより開孔口が完全に開いた後に灌水ノズルから水を吐出する。
- 小苗の植付深さは10cmが適している。また、植付深さ10cmの小苗に対する適正な灌水方法は、1株当たり20mlの灌水量を、深さ5cm(小苗の中央部から切断部の範囲)に行うことである(図2)。なお、20mlの灌水量により、植付前土壌含水比2%の黒ボク土壌は発根の始まる3日間苗周辺の土壌含水比を37%程度以上に維持できる。
- 圃場作業量は6.2a/h、圃場作業効率は85%である(表1)。また、機械的欠株率は約5%以下、植付後の枯死率は4%以下であり、生存率は90%以上である(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本情報は、小苗体系導入による省力化を目指すカンショの大規模経営生産法人への資料として活用する。
- 本移植機は小苗専用であり、慣行苗には適していない。
- 小苗の茎の曲りは機械的欠株につながるため、カンショ小苗用移植機に供給する小苗の茎はまっすぐであるほうが望ましい。
- 本情報のデータは「コガネセンガン」による南九州での試験結果である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/karc/2014/karc14_s03.html
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カテゴリ |
育苗
かんしょ
機械化
省力化
大規模経営
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