配光制御型高輝度LED による補光時間がイチゴの光合成と収量に及ぼす影響

タイトル 配光制御型高輝度LED による補光時間がイチゴの光合成と収量に及ぼす影響
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2011~2014
研究担当者 日高功太
岡本章秀
荒木卓哉
三好悠太
壇和弘
今村仁
北野雅治
鮫島國親
沖村誠
発行年度 2014
要約 寡日照地域のイチゴ栽培において、配光制御型高輝度LEDを用いた12~16時間の補光で光合成は促進される。12時間の補光で一次腋果房の開花は早まり、可販果収量は多くなる。12時間以上の補光では、補光時間が長いほど光合成促進、増収効果は低くなる。
キーワード イチゴ、LED、光合成、収量、補光時間
背景・ねらい イチゴの生産基盤強化のために高度な環境制御技術(光、気温、二酸化炭素濃度、湿度、風速等)、特に、寡日照条件下での光環境の改善のための補光技術の開発が望まれている。配光制御型(レンズ集光により照射角度を狭角化し、光量を増加させる)の高輝度LEDを用いた補光により、積算の光合成量が増加することが期待されるが、配光制御型高輝度LEDによる補光時間が光合成および収量に及ぼす影響については明らかにされていない。そこで、イチゴ促成栽培での配光制御型高輝度LEDによる日中の補光時間と光合成速度および収量との関係について明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 頂果房の開花は、補光(株元から10cmの高さで約400μmol m-2s-1の光強度)の時間が長いほど早い。一次腋果房の開花は、12時間補光区では無補光区よりも早まるが、補光時間が12時間より長くなると開花が遅れて果房間葉数が多くなる。24時間補光区では開花に至らない(表1)。
  2. 12時間より長い補光時間では、補光時間が長いほど葉肉細胞へのデンプン粒の蓄積量が多くなる(図1)。
  3. 補光下における展開第3葉の光合成速度は、12~16時間補光区で無補光区に比べて有意に上昇する。12時間より長い補光時間では、補光時間が長いほど光合成速度が低下する傾向にあり(図2)、葉内へのデンプン粒の過剰蓄積が関与していると考えられる。
  4. 補光下における5月までの可販果収量は、12~14時間補光区で無補光区に比べて有意に増加する。12時間より長い補光時間では、補光時間が長いほど5月までの可販果収量が減少する傾向にある(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. (独)農研機構九州沖縄農業研究センター内の通常のビニルハウスに比べて寡日照条件である太陽光利用型植物工場で、一季成り性品種「福岡S6号」(あまおう)を2012年9月18日に定植し、2013年5月31日まで栽培試験を行った。光強度(光合成有効光量子束密度)および光合成速度の測定は、光合成・蒸散測定装置(LI-6400XT、LI-COR Inc.)を用いて行った。
  2. 青色(450nm)および緑色(550nm)にピークを持つ白色の配光制御型高輝度LED(LLM0312A、消費電力26W、スタンレー電気(株))を、株元から50cmの高さに30cm間隔で設置した。2012年10月1日から2013年5月31日まで、0時間(無補光)、12時間(6-18時)、14時間(4-18時)、16時間(2-18時)、24時間の補光を行った。
  3. 光強度や品種によって、適正な補光時間が変わる可能性があるため、さらなる検討が必要である。
図表1 237308-1.jpg
図表2 237308-2.jpg
図表3 237308-3.jpg
図表4 237308-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/karc/2014/karc14_s07.html
カテゴリ いちご 環境制御 栽培技術 品種

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