セジロウンカによるイネ南方黒すじ萎縮ウイルスの媒介条件

タイトル セジロウンカによるイネ南方黒すじ萎縮ウイルスの媒介条件
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2011~2014
研究担当者 松倉啓一郎
砥綿知美
酒井淳一
大貫正俊
奥田充
松村正哉
発行年度 2014
要約 イネ南方黒すじ萎縮ウイルスはセジロウンカ体内で増殖し、虫体内でのカプシドタンパク質遺伝子の発現量(≒mRNAコピー数)が103以上に達したセジロウンカは媒介虫となる。媒介率は媒介虫の吸汁時間に依存する。
キーワード 水稲、セジロウンカ、イネ南方黒すじ萎縮ウイルス、海外飛来性害虫、リアル タイムPCR
背景・ねらい 2010 年に九州の飼料用イネ圃場で国内初の発生が確認されたイネ南方黒すじ萎縮ウイルス(SRBSDV)は、感染したイネに草丈の萎縮や葉先のねじれ、葉脈の隆起などの症状を引き起こす。本ウイルスはセジロウンカによって媒介されることが明らかとなっており、被害の発生予測や防除対策の確立のためには、イネ-セジロウンカ感染環におけるSRBSDVの動態の解明が必要である。
イネ体内におけるSRBSDVの動態については、SRBSDVに感染したイネは感染後約20日で発病すること、セジロウンカは感染後約10日目の無病徴のイネからもウイルスを獲得できること、SRBSDVは感染イネの葉鞘に高濃度で存在することなど、すでに多くの基礎的知見が明らかとされている。そこで、セジロウンカ体内のウイルス濃度と媒介能力の関係を明らかにし、既知のイネ体内でのSRBSDVの動態とあわせて、イネ-セジロウンカ感染環におけるSRBSDVの動態の全貌を解明する。
成果の内容・特徴
  1. セジロウンカ成虫がSRBSDV発病株を吸汁すると、SRBSDVはセジロウンカ体内で増殖し、セジロウンカ体内の唾液腺におけるSRBSDV濃度は吸汁開始後4~7日で最大に達する。(図1)。
  2. 虫体内のSRBSDVカプシドタンパク質遺伝子の発現量(≒mRNAのコピー数)が103以上のセジロウンカは吸汁行動によりイネにウイルスを媒介できる。ウイルス媒介能力が最も高いのは虫体内のSRBSDVカプシドタンパク質遺伝子mRNAコピー数が104~105のセジロウンカである(表1)。
  3. 媒介虫となったセジロウンカによるSRBSDV媒介率はイネの吸汁時間に依存し、雄成虫は3日間の吸汁により、雌成虫は5日間の吸汁により、それぞれ60%以上の確率でウイルスを媒介する(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 得られた基礎的知見にもとづいて、セジロウンカの飛来量と媒介虫率からSRBSDVの発生量を予測するモデルを作成する。このモデルにより、セジロウンカの飛来状況に応じたSRBSDVの防除要否の判断が可能となる。
図表1 237317-1.jpg
図表2 237317-2.jpg
図表3 237317-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/karc/2014/karc14_s16.html
カテゴリ 病害虫 害虫 飼料用作物 水稲 防除

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