タイトル |
イチゴ選果ラインに組み込み可能なイチゴパック詰めロボット |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター |
研究期間 |
2011~2013 |
研究担当者 |
山本聡史
林茂彦
手島司
坪田将吾
落合良治
山田久也
田中伸明
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発行年度 |
2014 |
要約 |
イチゴ選果ライン上で搬送容器で搬送される果実を1果ずつ傷つけないように吸着して拾い上げ、平詰めソフトパックに姿勢を揃えて詰めるロボットである。1回の動作で最大6果を同時に処理し、慣行人手作業よりも40%程度高能率な作業ができる。
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キーワード |
イチゴ、選果施設、パック詰め、吸着ハンド、平詰めソフトパック
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背景・ねらい |
イチゴの新品種が次々に登場し、市場ニーズが高まる一方で、栽培面積は全国的に微減傾向にある。人手不足が主な原因と考えられるが、一部の産地ではイチゴの選果施設の導入が進んでいるもののパック詰めは人手によっている。こうした施設の省力化を図るため、選果ラインにより選別されたイチゴを自動で出荷容器(平詰めソフトパック)に並べるイ ゴパック詰めロボットを開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 本装置は、イチゴの選果ラインに組み込まれ、別途選別された果実を平詰めソフトパックに詰めるロボットであり、パック詰めユニット、搬送容器ユニット、出荷容器ユニットで構成される(図1、表1)。対応可能な平詰めソフトパックの規格は、5×6果の30果入(Mサイズ用)、4×6果の24果入(Lサイズ用)、4×5果の20果入(2Lサイズ用)の3種類である。
- パック詰めユニットは複数の吸着ハンドを備え、1回の動作(所要時間:約9秒)で複数のイチゴ果実(最大で6個)を同時に搬送容器から吸い上げ平詰めソフトパックに詰める。吸着ハンド(図1)は、軟らかい果実を損傷しないように果底部(ヘタ)側から吸着するという特徴を有する。果実と接触する吸着ハンドの先端部分には食品衛生法に適合したスポンジを使用し、さらに果底部の形状や果実姿勢のばらつきに対応して吸着ハンド先端の向きが柔軟に変化する構造を有するため、吸着ハンドにより保持した果底部に吸着痕などの損傷を発生させずにパック詰めする。質量9~20g(M~2Lサイズに相当)の果実のパック詰めが可能である。
- 搬送容器ユニットは、搬送容器の方向を揃え、設定した個数の搬送容器を順次パック詰めユニットに供給し、その後、空になった搬送容器を選果ラインに排出する。
- 出荷容器ユニット(図1)は、平詰めソフトパックを50枚以上ストックし、自動でパック詰めユニットに供給する。不足した場合は警報により周囲の作業者に知らせる。
- 作業能率は、人手作業でソフトパック1枚(トレイ)当たり77~96秒に対して、開発機では45~59秒であり(表2)、40%程度能率向上できる。また、搬送容器から果実を吸着して出荷容器まで搬送する吸着成功割合は99%以上を確保している(表3)。
- 自動でパック詰めした果実を出荷時に検品する際、作業者が果実の姿勢を手直しする作業が必要となる場合があるが、果実が搬送容器のくぼみ形状に沿って果頂部が水平方向を向き、果底部が吸着ハンドに正対するように置かれた場合、手直し割合は、Mサイズで11%、Lサイズで7%、2Lサイズで3%程度に収まる。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:イチゴの選果施設
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:イチゴの主産地・年間3台程度
- その他:2015年度に市販を予定。適性品種については、果頂部が三角錐状の整った形状でヘタの小さい質量10~20g程度の果実であれば作業精度を維持できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/2014/14_086.html
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カテゴリ |
いちご
出荷調整
省力化
新品種
ストック
品種
ロボット
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