乾熱土水抽出による水田土壌可給態窒素の簡易迅速評価

タイトル 乾熱土水抽出による水田土壌可給態窒素の簡易迅速評価
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2011~2015
研究担当者 野原茂樹
高橋茂
東英男
加藤直人
発行年度 2015
要約 家庭用オーブンによる土壌の乾熱処理、不振とう水抽出、市販の測定キットを用いた抽出液のCOD測定により、高額な機器を使用することなく可給態窒素を普及指導機関等でも1日で簡易に評価できる。
キーワード 水田土壌、可給態窒素、簡易診断、化学的酸素消費量(COD)
背景・ねらい イネの収量・品質に及ぼす窒素の影響は大きく、土壌の窒素供給の指標となる可給態窒素を評価することが重要である。標準的な測定法では土壌を風乾後30℃の温度下、湛水密閉状態で4週間培養した場合の無機態窒素の生成量で評価する。しかし、この方法では長時間を要すること、また、この間の試料の管理労力が必要なことなどが土壌診断実施の障害となっている。この問題を解決するため絶乾土水振とう抽出により、有機態炭素(以下、TOC)から評価する手法を開発(平成26年度研究成果情報)したが、この方法ではTOCの抽出を行うための振とう機や105℃24時間に調節できる通風乾燥機およびTOCの分析機器が整備されていることが必須条件であり、これらの機器を保有していない普及指導機関等では実施できない。そこで、高額な分析機器を必要としない簡易な評価法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 操作手順を図1に示す。家庭用オーブンを利用し、風乾土を120℃2時間乾熱後に不振とう水抽出を行う方法(以下、簡易乾熱土水抽出法)と市販の測定キットを用いた抽出液の化学的酸素消費量(以下COD)測定を組み合わせることにより可給態窒素を評価する方法である。
  2. 簡易乾熱土水抽出法の土壌乾熱条件は、可給態窒素と最も相関が高い120℃、2時間とする(表1)。
  3. 簡易乾熱土水抽出法によるCOD値は、TOC値と高い正相関が認められる。このことから高額な分析機器を使用することなくTOC値を評価できる(図2)。
  4. 簡易乾熱土水抽出法によるCOD値は、絶乾土水振とう抽出法と同様に水田土壌の種類に関わらず標準法の風乾土30℃4週間湛水培養による可給態窒素を評価できる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:水田の可給態窒素を簡易に評価したい普及指導機関等
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国4,000ha
  3. その他:オーブンは熱風循環式のものを用いる。
COD測定キットは株式会社共立理化学研究所の「パックテスト®COD」を用いる。10回 1,400円(税別) 型式 ZAK-COD 、50回 4,000円(税別) 型式WAK-COD 、150回 9,600円(税別) 型式KR-COD
詳細は中央農業総合研究センターホームページに掲載の「水田土壌可給態窒素の簡易・迅速評価マニュアル」を参照する。
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研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2015/15_039.html
カテゴリ 肥料 簡易診断 乾燥 水田 土壌診断 評価法

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