夏季の東シナ海・対馬海峡域のカタクチイワシ成魚の餌料環境

タイトル 夏季の東シナ海・対馬海峡域のカタクチイワシ成魚の餌料環境
担当機関 (国)水産総合研究センター 西海区水産研究所
研究期間 2014~2014
研究担当者 北島聡
長谷川徹
清本容子
高橋素光
黒田啓行
森本晴之
発行年度 2015
要約 東シナ海・対馬海峡域においてオンケア科カイアシ類がカタクチイワシ成魚の主要な餌となる理由を調べた。本科カイアシ類はオタマボヤ科尾虫類の廃棄ハウスに群れることが知られていることから、尾虫類に着目してカタクチイワシの胃内容物観察と生息場調査を行ったところ、カタクチイワシが尾虫類やその廃棄ハウスを食べる際、廃棄ハウスに群れたカイアシ類が一緒に食べられていることが明らかとなった。
背景・ねらい カタクチイワシは、しばしばオンケア科カイアシ類を主要な餌とするが、その理由は不明であった。近年、日本海中部沿岸域のカタクチイワシがオタマボヤ科の尾虫類の本体や廃棄した食餌装置(ハウス)(図1)を活発に食べており、その際、廃棄ハウスに群れる性質をもつオンケア科カイアシ類が一緒に食べられていることが明らかになったが、この事象が他海域で起きているかはよく分かっていない。そこで本研究では、東シナ海・対馬海峡域でも日本海と同様の事象が起こっているかを確認することを目的として、東シナ海・対馬海峡域で採集されたカタクチイワシ成魚の胃内容物と餌料環境を、尾虫類に着目して調べた。
成果の内容・特徴 2009~2014年の8~9月に東シナ海および対馬海峡で採集したカタクチイワシ成魚の胃内容物(n=37)を観察したところ、全ての胃からオタマボヤ科尾虫類の包巣原基(尾虫類本体に付着しており、尾虫類本体を食べた指標となる)やハウスとみられる物質が確認され、東シナ海・対馬海峡域においてもカタクチイワシ成魚がオタマボヤ科尾虫類やその廃棄ハウスを食べていることが明らかになった(図2)。尾虫類以外ではオンケア科カイアシ類が主要な餌生物であり、個体数ベースでは尾虫類を除く全餌生物の67±35%(平均±標準偏差)を占めた。一方、本科カイアシ類が調査点の全動物プランクトン個体数に占める割合はわずか18±8%(平均±標準偏差)であった。

2013年7月・10月に九州西方海域で、2014年9月に対馬海峡域で撮影した曳航式プランクトンレコーダーの画像を解析したところ、全ての観測時に廃棄ハウス様のデトリタスに付着しているオンケア科カイアシ類が確認され(図3)、本科カイアシ類が東シナ海でも尾虫類の廃棄ハウスに依存した分布様式をもつことが示された。従って、東シナ海・対馬海峡域においても本科カイアシ類はオタマボヤ科尾虫類の廃棄ハウスに群れるために、環境中には少ないにも関わらず、カタクチイワシの胃内からは多数出現すると考えられた。
成果の活用面・留意点 調査時期はカタクチイワシの産卵期に当たり、インカムブリーダーであるカタクチイワシの餌料環境を考える上で尾虫類の果たす役割は大きく、尾虫類自身の餌としての役割も今後考慮して研究を進める必要がある。
図表1 237526-1.jpg
図表2 237526-2.jpg
図表3 237526-3.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5112&YEAR=2015
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