魚醤油発酵中のヒスタミン蓄積を抑制するための好塩性乳酸菌発酵スターターの適正添加量の検討

タイトル 魚醤油発酵中のヒスタミン蓄積を抑制するための好塩性乳酸菌発酵スターターの適正添加量の検討
担当機関 (国)水産総合研究センター 中央水産研究所
研究期間 2011~2015
研究担当者 里見正隆
木村メイコ
本田亜由美
福井洋平
根井大介
柴田由起
矢野豊
発行年度 2015
要約 魚醤油もろみ中でのヒスタミン蓄積を抑制するため、乳酸菌発酵スターターの接種量を検討し、発酵開始時にもろみ中に存在するヒスタミン生成菌数の1,000倍以上のスターター菌数を接種することでヒスタミン蓄積を抑制できることを明らかにした。従って、初発ヒスタミン生成菌量を低減し、十分量の発酵スターターを添加することがヒスタミン蓄積抑制に必要である。
背景・ねらい 国産魚醤油生産現場では、大豆醤油の製造で使用されるスターターを代用している。これらのスターターは呈味性、色、香りといった官能的特性を向上させるために使用されているが、魚醤油製造時にどの程度ヒスタミン蓄積抑制に効果を発揮しているのかについては報告例がない。2011年にCODEXにおいて魚醤油の規格基準が策定され、ヒスタミンの基準値は400ppmに設定されたため、魚醤油のヒスタミン蓄積抑制手法の開発は急務である。そこで本研究では、魚醤油におけるヒスタミン蓄積のリスク低減を目指し、乳酸菌発酵スターターを魚醤油に接種した時のヒスタミン蓄積抑制効果について評価し、スターターの適正接種量について検討した。
成果の内容・特徴 ・魚醤油もろみ中でのヒスタミン蓄積機構を解明するため、もろみにγ線を照射して無菌化し、30℃で貯蔵し、ヒスタミン蓄積量を追跡したところ、ヒスタミンの蓄積は観察されなかった(Table 1)。

・ヒスタミン生成菌と好塩性乳酸菌発酵スターターを様々な濃度で無菌化もろみに添加し、ヒスタミン生成菌数、好塩性乳酸菌数、ヒスタミン蓄積量を追跡し、ヒスタミン抑制に効果のある発酵スターターの添加量を検討した(Fig.1)。その結果、発酵開始時にもろみ中に存在するヒスタミン生成菌数の1,000倍以上のスターター菌数を接種することでヒスタミン蓄積を抑制できることを明らにした。なお、初発のヒスタミン生成菌数が少ないほど、スターターの添加効果が高かった。
成果の活用面・留意点 市販の大豆醤油用好塩性乳酸菌発酵スターターはヒスタミン生成菌の増殖抑制を目的に開発されたものではないため、魚醤油もろみ中でヒスタミン生成菌と競合した時の挙動について知見が乏しかった。本研究では、市販のスターター株でも発酵開始時にもろみ中に存在するヒスタミン生成菌数の1,000倍以上の菌数を添加することでヒスタミン蓄積を抑制できることを明らかにし、製造現場でのスターターの適正添加量についての知見を提供することが出来た。しかしながら、スターターの使用が有効であっても、工場の洗浄を徹底し、初発のヒスタミン生成菌数を低減することはヒスタミンの蓄積を抑制するためには必須であることは自明である。
図表1 237553-1.jpg
図表2 237553-2.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5171&YEAR=2015
カテゴリ 大豆

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