タイトル |
FOEAS導入圃場で不耕起播種機を用いた低コストな水稲・小麦・大豆輪作体系 |
担当機関 |
(国)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2011~2015 |
研究担当者 |
大下泰生
小島誠
渡邊和洋
浜口秀生
宮武恭一
木村秀也
松山宏美
安本知子
牧夏海
深山大介
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発行年度 |
2015 |
要約 |
FOEASを導入した大規模営農において、高能率な大型不耕起播種機の使用、事前の耕起・整地による水稲乾田直播、小麦の追肥重点施肥、大豆の不耕起播種等を用いた技術体系により、全算入生産費を慣行対比で稲麦大豆それぞれ50%、9%、24%削減できる。
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キーワード |
水稲乾田直播、不耕起播種機、事前耕起・整地、生産コスト
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背景・ねらい |
水田の高度利用による水稲や麦類、大豆等の多収化、高品質化を図ることが重要である。地下水位制御システム(FOEAS)は水管理と土壌水分を高度に制御できることから、水稲栽培の湛水機能と、畑作物栽培の排水機能を両立でき、水田輪作に極めて有効である。そこで、FOEASを導入した大規模営農において、高能率な播種機の使用、作業競合を回避するための事前の耕起・整地による水稲乾田直播や大豆の不耕起播種、小麦の追肥重点施肥技術などを組み合わせた水田輪作による低コストな技術体系を構築する。
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成果の内容・特徴 |
- 地域全体をFOEASで基盤整備することによりブロックローテーションによる田畑輪換が容易になり、水稲乾田直播および大豆では出芽期の地下灌漑による給水で苗立ちを揃えて苗立ち率を向上させることや、小麦作ではFOEASの排水機能より湿害の抑制に効果が得られる(図1)。
- 大型の不耕起播種機(8条播種、作業幅2.4m)を用いると、作業速度約5km/hで10a当たり約10分の作業能率が得られる(図2)。
- 水稲の乾田直播では、作業に余裕のある冬季に耕起や砕土、均平整地を行い、額縁明渠の作溝や畦塗り等も行って事前に播種床を準備しておき、凍霜害を受けない播種適期の早期に不耕起で高能率に播種を行う。この播種体系により、水稲移植の砕土・代かき・移植との作業競合を回避でき、乾田直播の規模拡大が容易になる(図1)。
- 均平作業後は不耕起播種により表層を攪乱せず、播種後は大型鎮圧ローラ(機体質量約2t、作業幅約5m)を用いることにより表層が圧密されて、湛水後の日減水深量が抑制される(図1)。
- FOEASによる基盤整備を行った80ha規模の集落営農組織においては、水稲乾田直播に多収品種を用いて657kg/10a、小麦では追肥主体の追肥重点施肥で451kg/10a、大豆では不耕起播種と狭畦栽培による省力的栽培体系で221kg/10aの収量を得られる。労働時間を短縮する技術体系と多収により、地域の平均的な栽培に比べて、60kg当たり全算入生産費を水稲・小麦・大豆それぞれ50%、9%、24%削減できる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:FOEASによる基盤整備を行い、不耕起播種機を用いて水稲乾田直播や大豆不耕起栽培を行う生産者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:関東・東海等の温暖地で100ha程度の大規模営農に活用できる。暗渠排水整備地区を含めて、不耕起播種機を用いた大規模輪作体系を10箇所程度、普及を予定。
- その他:大型不耕起播種機は2017年頃より市販化を予定。技術指導や問い合わせは中央農業総合研究センターが対応する。「FOEAS圃場における不耕起播種を用いた稲麦大豆輪作体系栽培マニュアル」を提供する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2015/15_006.html
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カテゴリ |
肥料
FOEAS
乾田直播
規模拡大
狭畦栽培
コスト
小麦
栽培体系
湿害
市販化
水田
水稲
施肥
大規模営農
大豆
低コスト
播種
品種
不耕起栽培
水管理
輪作
輪作体系
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