アスタキサンチン含有補助飼料の保存法

タイトル アスタキサンチン含有補助飼料の保存法
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2009~2015
研究担当者 平子誠
関根禅
林峰之
伊藤稔
林登
佐藤秀俊
伊藤等
鬼澤直樹
大澤玲
小林幸惠
三角亮太
発行年度 2015
要約 包装材として抗酸化剤と脱酸素剤を封入した高密度ナイロンフィルム内装紙袋を用いることにより酸化失活しやすいアスタキサンチンを含む補助飼料を長期間安定的に貯蔵・流通させることができる。
キーワード アスタキサンチン、牛、抗酸化機能性物質、脱酸素剤、補助飼料
背景・ねらい 強力な抗酸化力を有するアスタキサンチンは酸化ストレスの改善に有効な資材であり、経口摂取によりその効果を発揮することができる。そのため、家畜においても暑熱や泌乳による酸化ストレス緩和用の補助飼料としての活用が期待されている。一方、アスタキサンチンはその強い抗酸化力が故に容易に酸素と反応し、空気中に長期間放置すると酸化して失活する。そこで、アスタキサンチンを家畜用の補助飼料資材として活用するため、アスタキサンチンの酸化を防ぎ、長期間安定的に貯蔵・流通させるための包装法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 賦形剤として一般的な飼料原料を用い、アスタキサンチン高含有酵母(ファフィア酵母)33%(アスタキサンチンとして4,000mg/kg)を含む補助飼料ペレットを製造する。
  2. 補助飼料を40℃で3ヶ月間保存すると、一般的な飼料の包装材であるポリエチレンフィルム内装紙袋では、アスタキサンチンの残存率が約40%まで低下するのに対し、高密度ナイロンフィルム内装紙袋に抗酸化剤及び脱酸素剤とともに封入した場合の残存率は約90%であり(図1)、市販品(図2)として充分な期間の貯蔵・流通が可能である。
  3. 高密度ナイロンフィルム内装紙袋に入れた補助飼料を開封状態で保管すると、40℃では1~2ヶ月、25℃では4~6ヶ月でアスタキサンチンの残存率が80%を下回る(図3)。そのため、開封後は冷暗所に保管し、できるだけ早め(夏季1ヶ月以内、冬季3ヶ月以内)に給与する。
  4. 初妊の乳牛に分娩予定日の4週前から分娩後12週まで上記補助飼料を毎日100g給与し、給与後4時間前後の血漿中アスタキサンチンを測定すると、分娩後1週以降有意な濃度上昇が認められ、その後は黄体機能賦活に有効な1ng/ml以上が維持される(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:畜産農家(特に暑熱期の酪農家及び繁殖牛飼養農家)
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国、以下3で示す牛用混合飼料として約50t/年程度の販売実績がある。
  3. その他:アスタキサンチンは家畜用飼料への添加が認められていない。開発した包装を用いて販売されている補助飼料は、飼料用として認められているファフィア酵母を添加したものである。また、抗酸化能のバランスをとるため、アスタキサンチンの含量を低減し、ビタミンC、ビタミンE及びセレン酵母が配合されている(図2)。
図表1 237576-1.gif
図表2 237576-2.gif
図表3 237576-3.gif
図表4 237576-4.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2015/15_028.html
カテゴリ 機能性 飼料用作物 乳牛 繁殖性改善

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