無人航空機を用いた海岸保全施設の変状把握手法

タイトル 無人航空機を用いた海岸保全施設の変状把握手法
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2015~2015
研究担当者 白谷栄作
桐 博英
大石 哲
水上幸治
村木広和
高橋順二
発行年度 2015
要約 デジタルカメラを搭載した無人航空機(UAV)を用いて海岸保全施設の劣化を効率よく把握する手法である。高度25mから撮影することで幅2~5mmの亀裂やひび割れを確認できるほか、堤防天端高の沈下を概ね2cmの精度で捉えられる。
キーワード 無人航空機、海岸保全施設、写真測量技術、維持管理手法
背景・ねらい 総延長約1,700kmにも及ぶ農地海岸に整備されている海岸保全施設の多くは築後50年以上を経過し、施設の老朽化が進行している。海岸保全施設の適切な維持管理には海岸管理者による点検が重要であるが、目視による点検作業は効率が悪い上、見落としや調査結果にムラがでるなどの問題がある。さらに、軟弱地盤に整備された海岸堤防の沈下量は数百メートル間隔で行われる水準測量に頼っており、局所的な天端高やひずみ等を効率的に計測する手法が求められている。一方、近年、土木構造物の劣化状況の把握にデジタルカメラを搭載した無人航空機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)による空撮が用いられるようになってきたが、ひび割れの幅は評価できていない。また、レーザー機器を搭載した航空機による標高計測は、数cm程度の誤差を含んでおり海岸保全施設の沈下量の評価には使えなかった。そこで、無人航空機による空撮を海岸保全施設の維持管理に適用するため、ひび割れや亀裂の判読精度および天端高標高の計測精度を検証する。
成果の内容・特徴
  1. 使用するUAVは8基のローターを有し(図1)、予め設定した計測線に沿って自動運航する。
  2. 実験では、延長約500m、幅約30mの海岸堤防を合計6回撮影した。時折5~6m/sの風速がある中、中断も含めて撮影に要した時間は約4時間である。
  3. UAVで撮影した写真画像からひび割れや亀裂を確認した例を図2に示す。高度25mから撮影した解像度4mmの画像では、幅5mmの突堤先端のひび割れのほか、幅2~3mm程度のパラペットの目地の開きを確認できる。
  4. UAVで撮影した画像からSfM(Structure from Motion)技術により作成した海岸堤防と樋門の三次元モデルが図3である。SfM技術は写真測量の一つで、従来の写真測量では困難だった撮影位置や傾斜情報が乏しい画像及び撮影条件が異なる画像を容易に組み合わせることで効果的に三次元モデルを作成する。
  5. 海岸堤防の全延長にわたり、UAV画像から作成した三次元モデルと水準測量の標高を比較すると(図4)、両者の傾向は概ね一致しており、各測点における水準測量とUAV計測の差は高度25mの撮影で平均4.3mm、標準偏差19.3mmである。海岸堤防の始端から60~200mの区間では3~4cmの較差が見られるが、これは風による周囲の樹木動揺の影響と考えられ、気象条件の良い日を選んで計測することで解消できる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:海岸管理者、海岸の管理を委託される民間団体、海岸保全施設の点検を行う民間コンサルタント
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:国営の海岸保全事業地区
  3. その他:均質な調査結果の取得・評価及び効率性の向上のため、撮影高度、カメラの焦点距離、基準点の配点等による解析精度を定量化することが必要である。
図表1 237589-1.gif
図表2 237589-2.gif
図表3 237589-3.gif
図表4 237589-4.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2015/15_085.html
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