関東地域のダイズ有機栽培には「フクユタカ」の7月上~中旬播種が適している

タイトル 関東地域のダイズ有機栽培には「フクユタカ」の7月上~中旬播種が適している
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2011~2015
研究担当者 田澤純子
白石昭彦
三浦重典
発行年度 2015
要約 関東地域におけるダイズ有機栽培には、中~晩生の品種が適している。「フクユタカ」は関東地域の一般的な標準播種期よりやや遅い7月上~中旬に播種することで、カメムシ等による吸汁害が軽減され、200kg/10a程度の収量が見込まれる。
キーワード ダイズ、有機栽培、晩生品種、晩播、吸汁害
背景・ねらい わが国で生産される有機JASダイズの生産量は約1千トンで横ばい状態が続いている。一方、有機ダイズの輸入量は約1万6千トン(農林水産省2015)と近年増加しており、国内生産拡大のためにダイズ有機栽培体系の確立が求められている。有機栽培では農薬等を使用せずに病害虫や雑草に対応する必要があるが、ダイズの有機栽培に関する報告はほとんどなく、現状では科学的知見に基づいた有機栽培技術が提示されているとは言い難い。そこで、有機栽培に適した品種の特性とともに、有機栽培に適した播種期について明らかにして、ダイズ有機栽培体系の構築に資する。
成果の内容・特徴
  1. 有機栽培条件(無農薬・無化学肥料)下では、中~晩生品種である「納豆小粒」と「フクユタカ」が、関東地域で広く栽培されている早生品種の「タチナガハ」に対して収量が高く、対慣行栽培(化成肥料、除草剤、殺虫殺菌剤使用)比も高い(図1)。
  2. 「タチナガハ」と「フクユタカ」を比較すると、開花期の茎葉乾物重および主茎長には有機栽培と慣行栽培の差はみられないが、子実肥大期には差が生じ、莢乾物重および主茎長は有機栽培で低くなる(表1)。
  3. 有機栽培では、ダイズの開花期が8月中旬になる場合に収量が高い(図2)。8月中旬に開花を迎える播種時期は、「タチナガハ」が7月中旬、「フクユタカ」が7月上旬である。これは関東地域の一般的な標準播種期よりやや遅い。
  4. 7月上~中旬に播種すると6月中旬に播種した場合より収穫子実の被害粒率、特にカメムシ等による吸汁害粒率が低減する(表2)。「フクユタカ」は有機栽培でも慣行栽培の7割程度の収量となり、7月中旬までに播種すれば、200kg/10a程度の収量が見込まれる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 関東地域等の平坦地でダイズの有機栽培を行う際の参考となる。
  2. フクユタカを高冷地など登熟期の気温が低い地域で晩播する場合には、登熟不良を起こすことがあるので注意する。
  3. 本試験は茨城県つくば市観音台の中央農研畑圃場(淡色黒ボク土)で実施した。有機栽培区では有機質肥料をN、P2O5、K2Oとして3、17、10 kg/10a施用した。畝間70cm、株間10cm(14.3株/m2)で栽培し、雑草防除を主目的として中耕培土を2回(播種後およそ2および4週間後)行った。慣行栽培区では化成肥料をN、P2O5、K2Oとして3、10、10 kg/10a施用し、除草剤、殺菌剤、殺虫剤を適宜散布した。
図表1 237607-1.gif
図表2 237607-2.gif
図表3 237607-3.gif
図表4 237607-4.gif
図表5 237607-5.gif
図表6 237607-6.gif
図表7 237607-7.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2015/narc15_s26.html
カテゴリ 有機栽培 土づくり 肥料 病害虫 害虫 カメムシ 栽培技術 栽培条件 栽培体系 雑草 除草剤 生産拡大 大豆 農薬 播種 品種

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