リンゴの摘花剤散布は果実を肥大させ、摘果剤との併用で摘果作業も省力できる

タイトル リンゴの摘花剤散布は果実を肥大させ、摘果剤との併用で摘果作業も省力できる
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2012~2015
研究担当者 守谷友紀
岩波宏
花田俊男
本多親子
和田雅人
発行年度 2015
要約 リンゴにおける摘花剤散布は果実を肥大させる効果があり、摘花剤と摘果剤を併用することにより摘果期間全体における摘果作業時間も短縮できる。薬剤摘花・摘果による果実肥大の促進効果および摘果作業の省力効果は品種により異なる。
キーワード 摘果、省力、果実肥大、摘花剤、摘果剤
背景・ねらい リンゴ栽培において、摘花・摘果作業は果実品質向上および翌年の花芽確保のために重要な作業であるが、労働時間に占める比重が高いうえに作業期間は限られており、効率的な摘花・摘果方法として摘花剤や摘果剤の利用も推奨されている。このうち、摘花剤については、その効果により早期に幼果が落下すれば、摘果期間の早期における摘果作業時間が短縮されると予想されるが、これまでの省力効果の報告は摘果期間の後期に行った摘果時間の測定結果に基づいており、摘花剤による早期の落果の効果が考慮されていない。また、早期の落果は果実肥大も促進すると期待されるが、これまでの摘花剤・摘果剤の試験報告では省力効果のみが記載されており、果実肥大効果について言及がない。そこで、摘果期間早期の落果量を増加させる摘花剤がもたらす摘果期間全体での省力効果および果実肥大促進効果を検証し、各品種における効率的な薬剤摘花・摘果の方法を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 「つがる」において、摘花剤により早期の落果量は増加するが、摘花剤単用では摘果作業の省力につながらない。「つがる」には摘果期間の後半で自然落果により花そう内果数が急減する特性があり、摘花剤による早期の落果よりも摘果期間後半の自然落果の方が摘果期間全体における摘果作業時間の短縮に寄与するからである。一方、摘花剤により早期に落果させることで果実肥大は促進される。したがって、摘花剤と摘果剤の併用が摘果作業の省力および果実の肥大に最も効果的である。
  2. 「シナノスイート」においては、幼果が落下しにくい品種特性の影響により薬剤摘花・摘果による摘果作業の省力効果が認められないが、摘花剤による早期の落果により果実肥大が促進されるため、摘花剤散布は有効である。
  3. 「ジョナゴールド」においても、摘果期間の後半に自然落果する特性の影響により摘花剤単用では摘果期間全体での省力につながりにくいが、摘花剤と摘果剤の併用により果実肥大は促進され、摘果作業の省力も期待できる。
  4. 「ふじ」では、摘花剤により早期に幼果を落下させることで摘果期間全体における摘果作業時間を短縮できる。摘花剤と摘果剤の併用により、無散布と比べて摘果作業を大幅に省力しつつ果実肥大も促進できる。
成果の活用面・留意点
  1. 生産規模が小さく、摘果剤による摘果効果が現れる開花25日後頃までに人手による摘果が終了する場合は、摘果剤散布による省力効果は期待できない。
  2. 省力効果が品種によって異なることから、「ふじ」のように摘花剤散布が有効な品種から人手による摘果を行い、「つがる」や「ジョナゴールド」のように摘果剤散布が効果的な品種の摘果は摘果剤の効果が現れた後に行うと、園地全体として効率よく摘果作業を行うことができる。
図表1 237655-1.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2015/fruit15_s10.html
カテゴリ 品種 薬剤 りんご

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