ホルクロルフェニュロン添加によるナシ「豊水」の溶液受粉における結実率向上

タイトル ホルクロルフェニュロン添加によるナシ「豊水」の溶液受粉における結実率向上
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2011~2013
研究担当者 阪本大輔
草塲新之助
中村ゆり
発行年度 2015
要約 ニホンナシ「豊水」において、ナシの溶液受粉用の液体増量剤にホルクロルフェニュロン(CPPU)2ppmを添加することによって、溶液受粉による結実率を向上させることができる。
キーワード ニホンナシ、溶液受粉、省力化、結実、ホルクロルフェニュロン
背景・ねらい 溶液受粉技術は、受粉時間を短縮でき、天候に左右されにくいことから、省力軽労化技術として期待されている。ニホンナシ「幸水」、「あきづき」および「秋麗」については、慣行受粉とほぼ同程度の結実率が得られ、果実品質にも差がないことが明らかにされているが、「豊水」、「新高」などについては、溶液受粉による結実率が低く、種子数が少ないため果実肥大が劣る等の課題が残されている。これまでに、「幸水」および「あきづき」は、弱い単為結果性を有し、そのことが溶液受粉における結実率の確保に寄与していると考えられている。そこで、我が国で二番目に栽培面積の大きい「豊水」の溶液受粉技術を確立するために、単為結果を誘起するホルクロルフェニュロン(CPPU)の液体増量剤への添加が溶液受粉による結実率に及ぼす影響について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 「豊水」において、寒天0.1%(w/v)、ショ糖10%(w/v)を含む液体増量剤に花粉0.3%(w/v)を懸濁して溶液受粉を行った場合の結実率は、慣行受粉(石松子で5倍希釈した花粉を用いて梵天で受粉)の48~72%である。一方、CPPU 2ppmを添加した液体増量剤に花粉を懸濁して溶液受粉を行った場合の結実率は、慣行受粉の71~94%となり、有意に向上する(表1)。種子数については、溶液受粉は慣行受粉に比べ少なくなる傾向になり、CPPUを添加することにより、更に減少する傾向になる(表1)。
  2. CPPUを添加した液体増量剤を用いて溶液受粉を行った場合は、CPPU無添加の溶液受粉および慣行受粉と比べて、収穫期がやや遅れる傾向が認められ、約9割の果実が有てい果となる(表2)。しかしながら、果実重、果形指数および糖度等の果実品質について、差は認められず(表2)、他の2年間も同様の傾向である(データ略)。
  3. 受粉を行わない場合は、結実は全く認められない。一方、CPPUを添加した液体増量剤に花粉を懸濁せずに処理した場合には3割程度の結実率が得られるものの、得られた果実は種子を有さない(表1)。このことから、液体増量剤にCPPUを添加した場合に、単為結果が誘起されることにより、溶液受粉における結実率が向上すると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. これまで、溶液受粉で十分な結実が得られなかった「豊水」以外の品種に対しても、本技術を利用することにより、溶液受粉による結実率が向上する可能性がある。
  2. 農薬登録において、ナシ「豊水」における満開期のCPPU花そう散布は、みつ症軽減を目的としたものであるため、本技術を使用するためには、農薬登録の適用拡大が必要である。
図表1 237663-1.gif
図表2 237663-2.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2015/fruit15_s02.html
カテゴリ 病害虫 軽労化 受粉 省力化 単為結果 日本なし 農薬 品種

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