テラス承水路等の導入による大規模傾斜畑圃場における土壌流出抑制

タイトル テラス承水路等の導入による大規模傾斜畑圃場における土壌流出抑制
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2011~2015
研究担当者 中尾誠司
塩野隆弘
発行年度 2015
要約 水田作業用の畦塗り機、溝掘り機、バーチカルハローなどの営農機械を利用したテラス承水路や集水路などの設置は、大規模傾斜畑圃場からの土壌流出を抑制し、畑地保全や環境保全に寄与する
キーワード 大規模傾斜畑、土壌流出、テラス承水路、集水路、畦塗り機
背景・ねらい 農用地における土壌流亡防止は、土壌保全や環境保全の重要な要素の一つである。とりわけ大規模かつ長大な斜面を有する傾斜畑では、降雨に伴う土壌侵食や土壌流亡が著しく、土壌流出対策が不可欠である。大規模畑地においてはマルチングなどの営農的対策法のみでは十分な対策が困難な場合がある。そこで本研究では、大規模傾斜ウネ立て圃場の土壌流出軽減対策として、ウネ長の短縮化による土壌侵食・降雨流出抑制法であるテラス承水路の設置と集水路および土砂溜を導入した簡易な対策技術の有効性を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 対象圃場は青森県南西部に位置する大規模傾斜畑地帯内の圃場であり、面積2.64ha、流下方向の平均斜面長279m、平均斜面幅95m、平均傾斜角5.3度である。土壌は表層多腐植質黒ボク土である。調査年(2013年)の栽培作物はニンジンであり、一ウネに6条で播種が行われ、作ウネは平ウネである。
  2. テラス承水路や集水路は、土壌侵食、降雨流出および農地保全に関する知見やマニュアルなどを参考に設置間隔や断面規模を設計し、圃場の地形を考慮して配置する(図1)。
  3. テラス承水路は、スパイラルローラ仕様のバーチカルハローを利用した造成予定ラインの整地、畦塗り機による水路部分と土手(畦畔)の形成、溝切り機による水路断面の拡幅作業により造成できる。集水路は溝切り機を利用することで設置可能であるが、急こう配または流出水量が多く侵食・洗掘の危険性が高い集水路では、防草シートの敷設により侵食・洗掘の防止が可能である(図2)。
  4. テラス承水路造成時と調査終了時の各テラス承水路の地形測量結果から、テラスAを除いたテラス全体で約14トンの土砂がテラス承水路に堆積する(表1)。テラス承水路は畑面侵食土壌の堆積を促し、圃場外への土壌流出を抑制する効果がある。
  5. 圃場流末に小規模な土砂溜を設けることにより、圃場外への土壌流出抑制に対して一定の効果が得られる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 大規模農用地の土壌流出抑制技術として活用される。
  2. 作ウネの形態に応じたテラス承水路配置などの決定手法や営農者が簡便に利用できる対策計画・設計システムの開発が必要である。
図表1 237697-1.gif
図表2 237697-2.gif
図表3 237697-3.gif
図表4 237697-4.gif
図表5 237697-5.gif
図表6 237697-6.gif
図表7 237697-7.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2015/nilgs15_s34.html
カテゴリ 水田 にんじん 播種

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