山羊関節炎・脳脊髄炎ウイルスの国内浸潤と感染リスク

タイトル 山羊関節炎・脳脊髄炎ウイルスの国内浸潤と感染リスク
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2006~2015
研究担当者 小西美佐子
早山陽子
白藤浩明
亀山健一郎
筒井俊之
村上賢二
明石博臣
発行年度 2015
要約 山羊関節炎・脳脊髄炎ウイルスの抗体検査および疫学調査の結果は、山羊の用途、飼養頭数や導入の有無が本ウイルスの感染リスクに影響する可能性を示唆している。
キーワード 山羊関節炎・脳脊髄炎ウイルス、抗体検査、疫学調査、感染リスク
背景・ねらい 山羊関節炎・脳脊髄炎(CAE)は、レトロウイルスに属するCAEウイルス(CAEV)感染によって引き起こされる山羊の進行性消耗性疾患であり、関節炎、乳房炎及び肺炎を主症状とする。欧米をはじめ海外では、疫学調査によるCAEV感染リスク解析やウイルスの分子疫学解析が実施され、本疾病の清浄化対策が講じられている。一方、日本では、2002年の初発生以降、任意の抗体検査が実施されているが、国内全体のCAEV浸潤状況および山羊飼養状況等は不明である。そこで、わが国のCAE防疫対策に資するため、全国規模のCAEV抗体検査を実施するとともに、農場および個体別の疫学情報を収集し、CAEV感染リスクの解明を試みる。
成果の内容・特徴
  1. 2006-2007年に山羊飼養農家(28県113戸)を対象に実施した抗体検査の結果、15.0%(17/113)にCAEVが侵入しており、各農家の山羊合計857頭のうち10.0%(86/857)が感染していたことが示されている。
  2. 対象農場について農場別(飼養目的や頭数など)ならびに個体別(年齢や品種など)の情報を収集したところ、乳用農場が最も多いが、平均飼養頭数は15頭と小規模であること、品種別ではザーネン種が最も多く飼養されていることなど、わが国における山羊の飼養状況を反映した結果が示されている。
  3. 農場/個体別の抗体検査の結果と、飼養状況調査の結果を用いた統計学的解析の結果、農場別では「飼養頭数(10頭以上)」および「飼養目的(乳用・種畜用)」、個体別では「年齢(3歳以上)」、「品種(ザーネン)」ならびに「外部からの導入」を始め、さまざまな条件が「CAEV感染に関連あり」と示されている(図1)。したがってこれらはCAEV感染リスクとなる可能性が示唆される。
  4. 品種別に抗体陽性率を比較すると、外来種(ザーネン、アルパイン、ヌビアン)は14.3~24.6%と高いのに対し、在来種(シバヤギ、トカラヤギ、ヤクシマヤギ)は0%である。
  5. 今回の解析結果から、CAEV感染に関連のある項目を多く有す大規模の乳用山羊飼育農家におけるCAEの清浄化が、わが国のCAE対策上、非常に重要であると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. わが国でも海外と同様に、不顕性感染個体の導入がCAEVの国内浸潤に関与していることが推察される。したがって、外部から山羊を導入する際は、事前に検査を実施し、CAEV非感染の個体を導入することが重要である。
  2. 本調査では、外来種でのみCAEV感染が認められたが、CAEVの国内侵入経路については、今後、在来種の検査頭数を増やすとともに、国内外のCAEVの分子疫学的解析を実施して検証を重ねる必要がある。
図表1 237753-1.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2015/niah15_s04.html
カテゴリ 品種 山羊

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