オキシトシン負荷により分娩後の黒毛和種雌牛の子宮機能回復状況を予測する

タイトル オキシトシン負荷により分娩後の黒毛和種雌牛の子宮機能回復状況を予測する
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2011~2015
研究担当者 伊賀浩輔
発行年度 2015
要約 分娩後40日にオキシトシン負荷試験を行い、負荷後0~90分までの血中プロスタグランジン代謝産物の推移を調べることで、分娩後の黒毛和種雌牛における子宮機能の回復状況を予測できる。
キーワード オキシトシン負荷、プロスタグランジン代謝産物、子宮修復、黒毛和種
背景・ねらい 2015年3月に新たな家畜改良増殖目標が策定され、乳・肉用牛ともに分娩間隔の短縮が挙げられている。特に、肉用牛においては1年1産(12.5ヶ月)の目標が策定されており、目標達成のためには繁殖雌牛の効率的利用を促すことが重要となる。そのためには分娩後早期に繁殖機能を回復させ、機能回復したか否かを評価し、早期に繁殖技術を適用させることが必須となる。
下垂体後葉から分泌されるオキシトシン(OT)は、牛卵巣および子宮機能の調節因子であり、生体への負荷により主に子宮から一過性なプロスタグランジン分泌促進作用(OT感受性)を有する。このOT感受性を指標として受胎性評価技術を開発し、感受性の高い牛群はその後の受胎性も高いことを明らかにしている(2010年度研究成果情報「オキシトシン負荷試験を利用した黒毛和種雌牛の受胎性評価」)。そこで本研究では、牛子宮の生理的作用であるOT感受性を利用し、分娩後の黒毛和種における子宮機能の回復状況を予測する。
成果の内容・特徴
  1. 分娩後の子宮修復過程において、直腸検査および超音波画像診断装置を用い、妊角・非妊角直径が同程度になる形態的な子宮修復時期は30.8±1.5日、子宮内の清浄化を反映する悪露の消失時期は36.0±2.4日、初回排卵時期は42.3±3.4日となり、自然哺乳下の黒毛和種雌牛では概ね分娩後40日には子宮修復は完了する(表1)。
  2. 分娩後の子宮修復の経過に伴い、OT負荷後のプロスタグランジン代謝産物(PGFM)濃度の推移パターンは分娩後40日まで日数依存的に低下する(図2)。図1に示すとおり、分娩後10、20、30および40日のPGFM濃度は、図2に示すOT負荷後0分の濃度を反映しており、分娩後の子宮修復過程に伴う機能回復の変化が推察できる。
  3. 分娩後30および40日においてOT負荷後0分の濃度を100%とし15~90分の濃度を百分率で表すことで、分娩後40日のPGFM産生割合は30日と比較して有意(P<0.05)に高く推移する。また、分娩後40日においてOT負荷後15分でPGFM産生割合は有意(P<0.01)に高くなることから、子宮が有するOT感受性が回復している(図3)。
  4. 分娩後の形態的な子宮修復状況およびOT感受性を利用することで子宮修復に伴う機能回復が予測できる。
成果の活用面・留意点
  1. 従来の繁殖検査と併用することで、雌性生殖器の総合的な評価ができる。
  2. 投薬を伴うため、本技術は獣医師あるいは試験研究機関が対象となる。
  3. 自然哺乳下の黒毛和種の結果であるため、早期離乳や他品種は検討が必要である。
  4. OTは動物用オキシトシン注射液DSP(ナガセ医薬品株式会社)100単位/頭を投与。
  5. PGFM濃度の測定には市販のELISAキット(Cayman社)を使用。
図表1 237824-1.gif
図表2 237824-2.gif
図表3 237824-3.gif
図表4 237824-4.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/tarc/2015/tarc15_s09.html
カテゴリ 肉牛 繁殖性改善 評価法 品種

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