植物の高温特異的合成プロモーターによる遺伝子発現法

タイトル 植物の高温特異的合成プロモーターによる遺伝子発現法
担当機関 (国研)国際農林水産業研究センター
研究期間 2014~2016
研究担当者 圓山 恭之進
小賀田 拓也
金森 紀仁
後藤 新吾
山本 義治
浦和 博子
井内 聖
浦野 薫
櫻井 哲也
榊原 均
篠崎 一雄
篠崎 和子
発行年度 2016
要約 植物ゲノムの網羅的な比較解析を行い、高温特異的に働くプロモーターを合成した。このプロモーターは、気候変動による温暖化に対応した農作物や、付加価値が高い農作物の開発への利用が期待できる。
キーワード 高温, 遺伝子発現, プロモーター, 熱ショックエレメント
背景・ねらい これまで様々な視点から高温応答の研究がモデル植物であるシロイヌナズナで行われてきたが、より大きなゲノム情報を持つ農作物の高温応答に関する研究例は少なく、高温応答の基礎研究を農作物の育種に活用することは難しかった。近年の技術開発によって、シロイヌナズナだけでなく、様々な農作物においてもゲノム情報やゲノム編集技術等の利用が容易になり、最新情報や技術を活用したゲノム育種が可能となってきた。本研究では、シロイヌナズナ、ダイズ、イネ、トウモロコシのゲノムを網羅的に比較解析して、高温環境下の遺伝子発現を調節する合成プロモーターを作製する。この研究によって作製される合成プロモーターは、高温障害が懸念される地域の作物開発や、温度管理された植物工場で栽培される付加価値が高い作物開発へ活用されることが期待される。
成果の内容・特徴
  1. 4種(シロイヌナズナ、ダイズ、イネ、トウモロコシ)の転写調節領域におけるDNA配列の網羅的な比較解析を基に設計された高温誘導性合成プロモーターには、それぞれの植物に特徴的な熱ショックエレメントが含まれる。
  2. 合成プロモーターに含まれる熱ショックエレメントは、低温や乾燥などの環境ストレスに対する応答が報告されていたが、本研究で合成したプロモーターは高温特異的に機能する。合成したプロモーターの高温特異性は、β-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子を合成プロモーターにつなぎ合わせた形質転換シロイヌナズナを用いて、高温、低温、乾燥、ABA処理を行うことで検証できる(図1)。
  3. 本研究で合成したプロモーターは、赤外線レーザー照射による温度上昇に対しても機能する(図2)。対象となる細胞だけにレーザー照射を行い、プロモーターに連結した目的遺伝子を発現させることで、個々の細胞で特異的に機能する遺伝子の解析や細胞間相互作用の解析も可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究で設計した合成プロモーターは、ゲノム編集技術等を利用することで、高温耐性遺伝子を制御することが可能なため、気候変動による温暖化に対応した農作物の開発に活用されることが期待できる。
  2. 本研究で設計した合成プロモーターは、植物工場の温度管理だけで、一過的に遺伝子発現を調節することが可能である。例えば、出荷前に温室の温度をあげることで、付加価値を高くできる遺伝子(高ビタミン含量に関連する遺伝子等)の発現を制御できるため、健康志向等のニーズに対応した農作物の開発に活用されることが期待できる。一過的な遺伝子発現調節は、恒常的に遺伝子が機能すると起こり得る成長抑制等の副作用を抑えることができる。
オリジナルURL https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2016_b02
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2016_b02
カテゴリ 育種 温度管理 乾燥 ゲノム育種 高温対策 高温耐性 出荷調整 大豆 とうもろこし

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