侵入害虫クロテンコナカイガラムシのオス成虫を誘引するフェロモンの構造決定

タイトル 侵入害虫クロテンコナカイガラムシのオス成虫を誘引するフェロモンの構造決定
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター
研究期間 2015~2016
研究担当者 田端純
一木良子
発行年度 2016
要約 侵入害虫クロテンコナカイガラムシのメス成虫がオス成虫を誘引する物質(フェロモン)の化学構造は(R)-(?)-セネシオ酸(2,2-ジメチル-3-イソプロピリデンシクロブチル)メチルである。この物質は(+)-α?-ピネンから7工程で合成できる。
キーワード 侵入害虫、フェロモン、フェロモントラップ、発生予察・検出
背景・ねらい クロテンコナカイガラムシPhenacoccus solenopsis Tinsleyは、中南米原産の昆虫であるが、2000年代以降南アジアやアフリカをはじめとする世界各地に分布域を拡大し、様々な果樹や果菜等の農作物に被害を与えている。日本では南西諸島への侵入が2012年にはじめて報告されたが、現在ではすでに九州や本州にも侵入し、施設栽培のトマト等で被害が確認されている。さらなる分布拡大を防ぐためには、本種の発生状況を的確に把握する必要がある。そこで、この虫だけを強力に誘引するフェロモンの化学構造を明らかにし、その発生予察・検出を確実かつ簡便に行うことができるフェロモントラップの開発を目指す。
成果の内容・特徴
  1. クロテンコナカイガラムシ(図1)のメス成虫約33,600頭分に相当する量の匂い物質を収集し、この中からオス成虫誘引活性を示すフェロモン成分を液体クロマトグラフィーおよびガスクロマトグラフィーによって単離した。高分解能質量分析計、核磁気共鳴分光計、鏡像体分離キャピラリーカラム・ガスクロマトグラフ、および旋光計を用いた分析によれば、このフェロモン成分の化学構造は(R)-(?)-セネシオ酸(2,2-ジメチル-3-イソプロピリデンシクロブチル)メチルである(図2)。この物質は四員環を含む珍しい構造の新規モノテルペン系化合物である。
  2. この物質は(+)-α?-ピネンから7工程で鏡像体選択的に合成することができる(図3)。
  3. 合成したフェロモン(0.1mg)を誘引源とした粘着トラップ(11×22cm)には多くのオス成虫が捕獲される(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. フジコナカイガラムシをはじめとする他種のカイガラムシ類のフェロモンは、すでにフェロモントラップとして発生予察・検出に利用されている。本種のフェロモンも同様の用途で活用できる。
  2. 鏡像体である(S)-(+)-体に誘引を阻害する活性は全くない。そのため、この物質を合成する過程で (S)-(+)-体が混入しても、問題なくフェロモントラップの誘引剤として使用できる。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/carc/2016/carc16_s13.html
カテゴリ 害虫 施設栽培 トマト フェロモン

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