赤果肉リンゴの果肉の赤さは、摘果強度・光環境・栽培地によって影響を受ける

タイトル 赤果肉リンゴの果肉の赤さは、摘果強度・光環境・栽培地によって影響を受ける
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門
研究期間 2013~2016
研究担当者 本多親子
岩波宏
楢本克樹
前島勤
金丸京平
守谷(田中)友紀
花田俊男
和田雅人
発行年度 2016
要約 赤果肉リンゴ「Pink Pearl」と「Geneva」では、過度に着果させると果肉のアントシアニン濃度が低下し赤さが減少する。また果実に陽がよく当たった方が、果肉はより赤くなる。「Pink Pearl」では、気温がより低い地域で生産された樹の果実の方が果肉が赤い。
キーワード 赤果肉リンゴ、アントシアニン、摘果強度、光環境、栽培地
背景・ねらい 近年、カットフルーツなどに適した果肉の赤いリンゴへの期待が高まっている。しかし、赤果肉リンゴにおいては、果皮の赤い通常のリンゴとは異なり、安定して果肉が赤く着色するための栽培条件について知見がない。そこで、本研究では赤果肉リンゴの交配親として利用されている「Geneva」(着色の原因遺伝子がMdMYB10のタイプ1)および「Pink Pearl」(原因遺伝子がMdMYB110aのタイプ2)を用いて、栽培条件のうち、摘果強度および果実への光条件が果肉の着色(アントシアニン色素の蓄積)に与える影響について検討する。また、長野県須坂市および岩手県盛岡市で栽培された「Pink Pearl」の果実の果肉色を比較し、栽培地の違いが果肉色に与える影響について調べる。
成果の内容・特徴
  1. 「Geneva」および「Pink Pearl」において、4果そう1果(一般的な着果基準)と1果そう1果)(過着果)の樹では、前者の方が大きい果実が得られる(データ略)。
  2. 4果そう1果の樹において、果実重25gのクラスごとで果肉のアントシアニン濃度を比較すると、「Geneva」では小さいクラスの方が濃度が高く、「Pink Pearl」では大きいクラスの方が濃度が高くなる傾向が見られるものの、クラス間での有意な差は無い(図1A, B)。同じ果重のクラスで果肉のアントシアニン濃度を比較すると、1果そう1果の樹の果実では、濃度が約半分に低下する(図1C, D)。ただし、「Pink Pearl」の果実重が226~250gのクラス(1果そう1果の樹での一番果実が大きいクラス)では、4果そう1果の樹の果実と同等である。
  3. 両品種において、陽が良く当たった日向の果実の方が日陰の果実よりも約1.6倍果肉のアントシアニン濃度が高くなる(図2A, B)。
  4. 長野県須坂市および岩手県盛岡市で収穫された「Pink Pearl」の果実の果肉のアントシアニン濃度を比較すると、後者で収穫された果実の濃度の方が10倍以上高くなる(図3A,B)。開花直後から収穫期まで、岩手県盛岡市よりも長野県須坂市の方が最高気温が高く推移することから(データ略)、生育期間中の気温の高さが果肉におけるアントシアニンの蓄積を抑制すると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 果実の果肉をより赤くするためには摘果を行った上で果実によく陽を当てることが必要という結果は、他の赤果肉リンゴ品種にも適用できる可能性がある。
  2. 「Pink Pearl」は早生品種の赤果肉リンゴであり(収穫期は8月下旬から9月上旬)、比較的気温が高いうちに収穫されるため、特に気温の影響を受けやすい品種であると考えられる。収穫期の異なる中生品種・晩生品種においても、気温と果肉のアントシアニン濃度との関係について今後検討が必要である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nifts/2016/nifts16_s06.html
カテゴリ 栽培条件 光条件 品種 りんご

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