微小害虫の捕食性天敵コヒメハナカメムシ足跡フェロモンの化学構造

タイトル 微小害虫の捕食性天敵コヒメハナカメムシ足跡フェロモンの化学構造
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門
研究期間 2015~2016
研究担当者 前田太郎
安居拓恵
辻井直
松山茂
発行年度 2016
要約 アザミウマ類などの捕食性天敵コヒメハナカメムシのオスは、配偶者探索においてメスの足跡に含まれる匂い物質を利用している。この物質は成熟メスの足跡にのみ含まれる(Z)-9-nonacoseneであり、性フェロモンとして機能している。
キーワード 性フェロモン、天敵、配偶者探索行動、足跡、モノアルケン
背景・ねらい コヒメハナカメムシOrius minutusは、アザミウマ類などの難防除微小害虫を捕食することから、有望な土着天敵として効率的な利用法開発が求められている昆虫である。目的圃場に誘引・定着させるなど、天敵の行動を制御できるさまざまな技術が必要になる。そのためには、天敵の行動を引き起こしている要因を明らかにすることが不可欠である。本研究では、ハナカメムシの配偶者を探索する行動に着目し、それに関わる化学因子、すなわち性フェロモンを明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. コヒメハナカメムシのオスは、メスが歩いた葉片(足跡処理葉片)(図1)に対して探索行動をしながら歩行するため、長い滞在時間を示す。一方で、オスの足跡に対してはそのような行動は観察されない。また、メスもオスの足跡に対し長い滞在時間を示すが、オスのメスの足跡に対する滞在時間に比べて短い。
  2. コヒメハナカメムシのオスは、メスが歩いてから46時間経過した後の葉片に対しても長い滞在時間を示す。このことは、メスの足跡に含まれる成分のうち、揮発性の低い物質がオスの定着行動に関与することを示唆している。
  3. オスは、幼虫の足跡や羽化直後のメスの足跡には反応を示さず、羽化後数日たった成熟メスの足跡にのみ反応を示す(図2)。
  4. 成熟したメスの足跡に含まれる化学成分は、幼虫や羽化直後のメスの足跡とは大きく異なる。特に、(Z)-9-nonacoseneと推定される成分が特徴的に検出される(図3)。
  5. 合成した(Z)-9-nonacoseneは足跡に含まれる活性物質とガスクロマトグラフィーにおいて保持時間および、マススペクトルも一致する(図3)。
  6. オスは合成(Z)-9-nonacoseneに対して強い反応を示したことから、これが主要活性成分である(図4)。捕食性天敵における初の足跡性フェロモンの構造決定である。
成果の活用面・留意点
  1. 天敵行動制御技術の一つとしてオスの定着を促進する。
  2. 本成分は市販されていないが、合成は比較的容易である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nias/2016/nias16_s20.html
カテゴリ 病害虫 カメムシ 性フェロモン 土着天敵 微小害虫 フェロモン 防除

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