家計調査個票を用いた食品・農産物の年齢階層別消費量・消費金額の推計方法

タイトル 家計調査個票を用いた食品・農産物の年齢階層別消費量・消費金額の推計方法
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 食農ビジネス推進センター
研究期間 2016~2017
研究担当者 山本淳子
河野恵伸
大浦裕二
発行年度 2017
要約 食品及び農産物の年齢階層別の消費量(金額)を推計する方法である。総務省「家計調査」個票を用いて、世帯単位の消費量・消費金額データを年齢・性別による栄養摂取の特徴を反映させる形で各世帯員へ案分し、年齢階層別の消費量(金額)を算出する。
キーワード 家計調査、消費量、消費金額、年齢階層、推計
背景・ねらい 消費者ニーズを把握する際には、個々の食品・農産物に対する具体的な要望や利用実態の解明とあわせて、長期的な動向から消費特性を捉える必要がある。特に農産物は、年齢階層によって消費量が大きく異なるものも見られ、年齢階層別の消費量や消費金額の把握が重要である。しかし、従来の多変量解析による推計方法には、消費量がマイナスになる場合がある等の問題があった。そこで、総務省「家計調査」個票を用いて年齢階層別の消費量・消費金額を推計する方法を策定する。
成果の内容・特徴
  1. 「家計調査」個票からは、世帯ごとの各食品の消費量・消費金額と世帯員の年齢・性別等がわかるが、個々の世帯員の消費実態は不明である。そのため、世帯単位の消費量・消費金額を各世帯員に案分したデータセットを作成する。世帯員への案分の際に、厚生労働省「国民健康・栄養調査」を用いて、年齢や性別による栄養摂取の特徴(対象食品の1日あたり総摂取量もしくは総エネルギー摂取量)を反映させる(図1、図2)。
  2. 作成したデータセットを集計すると、年齢階層別の消費量・消費金額の推移や各世代(一定期間に生まれた人のグループ)の動向が把握できる。生鮮果物の消費量を分析した例(図3)では、高齢層に比べて若年層の消費量が少ないという既存研究と同様の結果が得られ、推計方法の妥当性が確認された。また、この分析例では、2005年から2015年にかけてどの年齢階層の消費量も減少しているが(左)、世代別に見ると2005年時点の40~50代のように10年間で消費量を増加させている世代もあり(右)、この世代の消費者に焦点をあてて生鮮果物への具体的な要望をさらに把握していくことが、今後の消費拡大のポイントになる。
  3. 個人ごとのデータセットを作成するため、各年齢階層や世代の平均値だけでなく、消費量・消費金額の分布なども把握できる。図4の分析例では、1956年生まれ以降の世代における生鮮果物の消費量減少の背景に、生鮮果物を全く購入しない「消費量ゼロの人」の増加があることを明らかにした。そのほか、年齢階層や世代ごとに、消費量や消費金額に対する年収や世帯規模、世帯員の就労状況などの影響も把握できる。
成果の活用面・留意点
  1. 消費の変化の要因把握の基礎データとして、また、研究開発方向や施策の重点化方向等の検討の際に基礎資料として活用できる。
  2. 家計調査における「2人以上世帯」データの分析に活用できる。
  3. 家計調査では廃棄量は不明のため購入数量を消費量としており、実際に摂取した量とは異なる。また、世帯において家計費で購入したものが計上されているため、世帯員が独自に購入した食品や外食に含まれる個々の食品は、当該食品の消費量・消費金額に含まれない。
  4. 家計調査個票の利用には総務省の許可が必要である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/abic/2017/abic17_s02.html
カテゴリ 消費拡大

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