ルミノメーターとATP測定キットによる簡易・迅速な土壌微生物バイオマス推定法

タイトル ルミノメーターとATP測定キットによる簡易・迅速な土壌微生物バイオマス推定法
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター
研究期間 2016~2017
研究担当者 浦嶋泰文
唐澤敏彦
中塚博子
林正紀
徳田進一
発行年度 2017
要約 土壌と蒸留水を市販のミキサーで懸濁し、その懸濁液のATP含量を小型ルミノメーターと市販のATP測定キットを用いて測定することにより、簡易・迅速に畑土壌の土壌微生物バイオマスが推定・評価可能となる。
キーワード ATP、簡易・迅速測定法、土壌微生物バイオマス、小型ルミノメーター
背景・ねらい 土壌微生物バイオマスは、土壌生物性の重要な量的指標と考えられているが、簡易・迅速に測定できる手法が無いことなどからデータ蓄積が進まず、土壌生物性の指標化が遅れている一因となっている。そこで、比較的安価な測定装置(小型ルミノメーター)と市販のATP測定キットを用い、様々な種類の畑土壌を対象として簡易・迅速に土壌微生物バイオマスが推定・評価可能か検討する。
成果の内容・特徴
  1. 土壌2gに200mLの蒸留水を加え、市販のミキサーで1分間懸濁する。その懸濁液の中心部付近から土壌懸濁液をマイクロピペットで市販のATP測定キット(ルシパックPen-AQUA)に採取・添加し、小型ルミノメーター(ルミテスター PD-30)を用いて発光量(RLU(relative light unit)値)を測定する。測定に要する時間は1サンプルあたり10分以下である(図1)。
  2. ATP測定キットへの土壌懸濁液の添加量は、0.2mLの土壌懸濁液を添加した場合はRLU値の増大が鈍化傾向にあることと、添加する土壌懸濁液が0.05mL以下の場合は、試料のサンプリング誤差が大きくなることが予想されるため、土壌懸濁液の添加量としては0.1mLが適量と判断される(図2)。
  3. ATP測定キットに土壌懸濁液を添加して1~5分間において1分ごとにRLU値を測定し、その最大値を採用する。このように、反応時間に幅を持たせることにより最適値を逃さないことが可能である(図3)。
  4. 本手法で測定したRLU値は、クロロホルムくん蒸抽出法で測定した土壌中のバイオマス炭素や窒素含量と正の相関が認められる。その傾向は、土壌の種類が異なっても同じ傾向である(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 本キットはキッコーマンバイオケミファ(株)(http://biochemifa.kikkoman.co.jp/)より市販されている。1検体あたりの費用は250円程度である。小型ルミノメーターの価格は10万円程度である。ルシパックPen-AQUAはサンプリングスティックで液体の検体をサンプリング可能であるが、土壌懸濁液をサンプリングする際にサンプリング誤差が大きかったことから、マイクロピペットによる採取を推奨する。
  2. 土壌微生物バイオマス窒素と可給態窒素との間に相関関係が認められていることから、本手法により測定した値は、畑土壌の肥沃度の指標として活用できる。
  3. 本簡易測定法は、抽出に振とう機を必要とせず、測定機器も比較的安価であるために、農業改良普及センター等や農業者自身が土壌バイオマスを測定することが可能となる。
  4. 本キットは有機物の施用直後や有機物を多量連用したり、未分解の有機物が多量に残存したりしているような土壌には推定精度が低下するため適用できない。
  5. 本成果は畑土壌を対象としたものであり、湛水期間中の水田土壌へ適用するためには更なる検討が必要である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/carc/2017/carc17_s09.html
カテゴリ 肥料 簡易測定 水田

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