タイトル |
雇用型農業法人における労務管理の改善を図る分析ツール |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター |
研究期間 |
2010~2017 |
研究担当者 |
澤田守
澤野久美
松本浩一
金岡正樹
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発行年度 |
2017 |
要約 |
農業法人における従業員の労務管理の改善を図るための分析ツールである。調査票を用いて農業法人従業員の職務満足度を計測することで、個々の農業経営に即した優先的に改善すべき労務管理施策が明示できる。
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キーワード |
雇用型農業法人、労務管理、人材定着、離職率、職務満足度
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背景・ねらい |
農業経営の規模拡大が進み、家族以外を従業員として雇用する雇用型農業法人が増加している。農業法人の経営発展には、経営幹部、農場長クラスの育成が不可欠となっているものの、従業員が早期に離職に至るケースが多く、人材育成が図られていない。そのため、農業法人においては従業員の離職率の低減につながる労務管理施策の策定が課題となっている。そこで農業法人の従業員の職務満足度を数値化し、優先的な労務管理施策が明示できる分析ツールを作成する。
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成果の内容・特徴 |
- 労務管理の改善を図る職務満足度分析は、動機づけ・衛生理論に基づき、農業法人における人材定着の課題を視覚化する手法である。分析ツールは、Microsoft社のエクセルを利用したシートになっている。
- 職務満足の計測と改善は、図1の手順で行われる。従業員に調査したデータを入力し、分析ツールを用いて表示された結果を検討することにより、PDCAサイクルに沿った労務管理の改善を行うことができる。
- 分析の際は、農業法人従業員向けに既往研究と実態調査から設定した質問項目の調査票を用い、職務の満足・不満足を計測する。使用する調査票は分析ツールの中に含まれており(図2)、農業法人の経営状況に合わせてカスタマイズすることが可能である。
- 分析ツールを用いて、調査票のデータを入力・実行することで、経営改善のポイントを視覚化した結果が表示できる。図2右下の赤枠の象限は、職務満足度との相関(重要度)は高いものの従業員の満足度が低い項目が位置し、優先的に改善すべき領域である。
- 職務満足度分析を実施した事例経営では、従業員とのコミュニケーションを図り実態把握をするとともに、この分析結果を確認しつつ、労務管理施策を改善するための優先的な課題などに対応した。一般的に従業員の新規大量採用は、離職の増加を招くが、離職率低減につなげている(図3)。
- 離職率低減に結びつく労務管理施策を確認するため、全国の農業法人(774社)に対してアンケート調査を実施し、離職率と労務管理施策の関係を分析した。その結果、離職率低減に効果がある項目は「毎日のミーティングの実施(図2の略称「指示徹底」と呼応)」、「資格取得支援(「能力向上」)」、「部門分担性の導入(「自己裁量」)」等であり、従業員の定着率を向上させる「重要度」と関連性が確認できる(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:農業法人支援に取り組む普及指導機関や自治体、民間団体
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国及び都道府県の農業会議、農業改良普及センター、社労士ネットワーク等の支援機関。
- その他:職務満足度分析ツール及び分析ツール操作法と農業法人における人材定着施策に関するアンケート分析結果は、「農業法人における人材定着施策と改善ツール」パンフレットとしてhttps://fmrp.dc.affrc.go.jp/でダウンロードできる。
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result070/2017/17_009.html
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カテゴリ |
規模拡大
経営管理
人材育成
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