人工光型植物工場で栽培した低硝酸リーフレタス品種「L-120」の根部特性

タイトル 人工光型植物工場で栽培した低硝酸リーフレタス品種「L-120」の根部特性
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2014~2016
研究担当者 岡本章秀
北﨑一義
大和陽一
発行年度 2017
要約 人工光型植物工場で栽培した、可食部の硝酸イオン含量が低いリーフレタス品種「L-120」では、標準的な硝酸イオン含量の品種「ノーチップ」に比較して、地上部乾物重/根乾物重比が大きく、吸収機能を担う細根量が少ないため、硝酸イオンの吸収が制限される。
キーワード リーフレタス、硝酸イオン、人工光型植物工場、水耕栽培、細根
背景・ねらい 人工光型植物工場で生産されるリーフレタスでは、光強度が低い条件下で比較的若い植物体を収穫するため、硝酸イオンが蓄積しやすい傾向にある。硝酸イオンは人間体内に多量に摂取されると有害物質に変化することがあるとされ、欧州連合(EU)では野菜中の硝酸イオン含量の基準値が定められている。わが国では野菜などの天然由来の食品についての基準値は定められていないものの、人工光型植物工場における商品開発では低硝酸イオン含量を付加価値とする事例が見られる。一方で、硝酸イオンの人体に与える有用な効果も見つかっている。そこで、人工光型植物工場で生産されるリーフレタスの硝酸イオン含量を制御することを目標として、硝酸イオン蓄積のメカニズムについての基礎的な知見を得るために、可食部の硝酸イオン含量が低いリーフレタス品種を選定し、その根部特性から硝酸イオン含量が低い要因を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. リーフレタス「L-120」の可食部の硝酸イオン含量は、他のリーフレタス品種に比較して低い(図1)。
  2. 硝酸イオン含量が低い「L-120」では、地上部の生育は標準的な硝酸イオン含量の「ノーチップ」と同程度であるが、根の成長は劣り、地上部乾物重/根乾物重比が大きい(図2)。
  3. 「L-120」では、「ノーチップ」に比較して、吸収機能を担うと考えられる直径1mm以下の細根の総根長および体積が小さい(図3)。
  4. 「L-120」と「ノーチップ」での同化された硝酸イオン量、ならびに硝酸イオン同化率に差は見られないが、「L-120」の根からの硝酸イオン吸収量は、「ノーチップ」に比較して小さい(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 人工光型植物工場を含めた水耕栽培において、リーフレタスの硝酸イオン含量を制御するうえでの基礎的知見として活用する。
  2. 農研機構植物工場九州実証拠点(福岡県久留米市)の人工光型植物工場内で、三波長形昼光色蛍光灯光源(育苗トレイ面で180μmol・m-2・s-1PPFD)下で14時間日長、気温23°C、相対湿度70%で育苗した後、三波長形昼光色蛍光灯光源(栽培パネル面で180μmol・m-2・s-1PPFD)のガター式栽培システム(株間15cm、条間15cm)を用いて16時間日長、気温24/18°C(昼/夜)、CO2濃度600ppmで栽培して得られた結果である。育苗および栽培時の培養液として、それぞれA処方(OATアグリオ(株))1/2および3/5単位を用いた。
  3. 樹木の分枝様相を定量的に解析するパイプモデル理論を応用したルートモデルにより根の直径に基づいて根系構造を解析し、直径1mm以下の根を、吸収機能を担う細根とした。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/karc/2017/karc17_s17.html
カテゴリ 育苗 水耕栽培 品種 リーフレタス

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