タイトル |
単収を増加できるトマト低段栽培用密植移動栽培ベンチ |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜花き研究部門 |
研究期間 |
2012~2014 |
研究担当者 |
太田智彦
黒崎秀人
岩崎泰永
中野明正
岩切浩文
内野達也
東出忠桐
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発行年度 |
2017 |
要約 |
ベッド間距離(条間)を自在に変更できる機構を有するトマト用移動栽培ベンチである。通路部分の大幅削減、また、生育ステージが異なる栽培ベンチの組み合わせにより、栽植密度を慣行の1.6倍に増加させることができ、単収は増加する。
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キーワード |
施設園芸、トマト、多収化、密植、移動栽培ベンチ
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背景・ねらい |
施設栽培トマトでは、高収益化のために単収の増加が望まれている。過去に開発されたイチゴ密植移動栽培ベンチは、栽培に無効な通路スペースを削減することで栽植密度を高め、単収を増加させることができる。しかし、トマトはイチゴと異なり、生育が進むと生育・果実肥大に必要な栽植面積は大きくなるため、イチゴの移動ベンチをトマトにそのまま適用することはできない。そこで、ベンチ間距離を生育ステージに合わせて適宜変更・組み合わせることによって、全体の栽植密度を高め、単収を増加させることが可能な移動ベンチを開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 開発したトマト移動ベンチは生育初期に、ベンチ間距離を小さくし、生育が進むに進んだ段階で、順次、ベンチ間距離を広くし、生育ステージ、ベンチ間距離の異なる移動ベンチを組み合わせて密植することで、単収を上げることができる(図1)。
- 移動ベンチには手動式(図1)と電動式(図2)がある。両方式のベンチともにベンチ長4mで、6台の移動ベンチから構成される。
- 手動式は主にハンドル、チェーン、車輪、ロックウールからなり、ハンドルを回転することで1台ずつベンチを前後に移動させる。電動式は主にモータ、車輪、ロックウール、タッチパネルからなり、パネル操作により複数ベンチを同時に連動して移動速度0.08m/sで移動させる。全ベンチを同時に走行させてベッド間距離を変更する動作と作業時に1ヶ所のベッド間を広げ、通路として利用できるようにする動作が可能である。
- ベッド間距離は生育初期には60cm、生育中期には100cm、3果房が着果して生長点がベンチ最上部まで伸長し、摘心した後、収穫終了までは140cmに設定する(図3)。このベッド間距離設定により、栽植密度は同じ株間の慣行栽培の1.6倍となる。
- 移動栽培の1作当りの単収は、11~13t/10aであり、慣行の1作当りの単収6t/10aの約2倍である(図4)。年間3作栽培する場合、33~39t/10aとなる。
- 電動式移動ベンチで3果房が着果したときの振動加速度は、他の生育ステージときより、大きく、進行方向で-1.0~1.0m2/s、ベッド長手方向で0.2~0.5m2/s、上下方向で-0.4~0.4m2/sである。長段栽培におけるつる下げ時の振動は-4.8~4.3m2/sと比べ、大幅に小さく、移動ベンチの振動により着果果実が落下することはほとんどない。
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成果の活用面・留意点 |
- 実用化のためには耐久性の確認などを行う必要がある。
- 生育時は通路を設けないため、管理や収穫などの作業を行うときは通路を空ける必要がある。
- ベッド間距離の組み合わせ、株間などを変えてトマトの他、キュウリ、ミニトマトなどの果菜類の栽培試験も行うことができる。受光量などを測定することによってさらに最適なベッド間距離を調べることができる。
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nivfs/2017/nivfs17_s03.html
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カテゴリ |
いちご
きゅうり
施設園芸
施設栽培
トマト
ミニトマト
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