台風常襲地における耐候性LED電球を活用したキクの安定生産技術

タイトル 台風常襲地における耐候性LED電球を活用したキクの安定生産技術
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜花き研究部門
研究期間 2014~2015
研究担当者 住友克彦
久松完
中野善公
小田篤
高橋重一
桐原弘
和田健吾
西原健作
橋口満洋
竹内秀樹
野崎晋一
神浦由美子
内田克彦
白山竜次
郡山啓作
今給黎征郎
木戸君枝
原田陽帆
武吉治
脇田直次
大吉憲仁
美野忠徳
児玉寿人
神薗孝浩
矢野幸一
山内徳廣
発行年度 2017
要約 新たに開発された高力率・省電力・防水性を備えたピーク波長625nmの耐候性LED電球を用いることで、台風による停電時においてもキクの安定生産に必要な電照栽培を継続できる。
キーワード キク、電照栽培、開花調節、光源
背景・ねらい 亜熱帯に位置する南西諸島は、キクの冬季出荷に向けた重要な産地である。台風常襲地でもあり、その対策として平張施設によって植物の損傷被害の軽減を図っている。しかし、台風は大規模かつ長期の停電を引き起こすことがあり、その場合、生産者は開花調節に不可欠な電照処理が行えず、計画外の花芽分化によって大きな損害を受ける。
停電時には、可搬型の小型発電機から給電することによって電照処理が可能となるが、従来の白熱電球を用いる場合には発電量が不足し、花芽分化の抑制に必要な電照時間と電照面積を確保することが困難である。そこで、消費電力の少ないLED電球を活用し、台風時の停電による被害を回避できる電照技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 耐候性LED電球(波長625nm)、可搬型小型発電機および非常用電源ボックスを用いることにより、停電時にも花芽分化抑制のための電照処理を継続でき、キクの安定出荷が可能になる。2.5kVAの可搬型小型発電機からの給電によって、栽培面積30a分に当たる330球の耐候性LED電球を用いた4時間の電照処理が可能である。
  2. 風雨の中や夜間に、発電機の接続および商用電源と発電機間の給電切り替えを簡単・安全に行うため、非常用電源ボックスを用いる(図1)。
  3. 耐候性LED電球は、風雨等過酷な露地にて使用可能な防水性・軽量性に加え、停電時における小型発電機での点灯に適した、高力率と省電力性を備えた電照栽培用の照明器具である(図2)。耐候性LED電球のピーク波長は、多くの秋ギクおよび夏秋ギク品種・系統に対して高い花芽分化抑制効果が示されている625nmである。
  4. 南西諸島の鹿児島県沖永良部島の平張施設90aにおけるスプレーギク栽培を対象とした経営評価では、耐候性LED電球および小型発電機を活用した台風による停電被害の回避技術によって、所得の133%の増加に相当する2,105千円/年の増収が見込まれる(表1)。
  5. 技術紹介パンフレット「キク等の台風等停電時対策マニュアル」では、本技術について詳細に解説されている。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:キクおよびソリダゴ生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:沖永良部島では、2014~2016年度にかけて平張施設、耐候性LED電球および小型発電機が37,194m2(キク生産者16戸)で導入されている。
  3. その他:
    1)露地電照栽培において白熱電球の代替としてLED照明器具を導入する場合、白熱電球と同等の花芽分化抑制効果があることに加え、風雨等過酷な露地環境での使用に耐えうる器具を選択する。なお本成果で用いた耐候性LED電球は、株式会社エルム製エコノライトAGハイパワー(AG10ASR03-62E26)およびエコノライトNAG(NAG10CSR5-62E26)である。
    2)「キク等の台風等停電時対策マニュアル」は、農研機構ホームページよりPDF版をダウンロード可能である。
    3)耐候性LED電球の消費電力は、75W白熱電球の10分の1以下である。沖永良部島でのスプレーギクのモデル経営では、7年で白熱電球に比較した累積費用(導入+ランニングコスト)が下回る。
    4)本成果で用いた耐候性LED電球は、沖永良部島での主要花きソリダゴにおいても生育開花促進効果がある。スプレーギクより電照期間が長いソリダゴでは、3.5年で白熱電球に比較した累積費用が下回る。 
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result030/2017/17_049.html
カテゴリ 亜熱帯 きく 経営管理 コスト 出荷調整 ソリダゴ 電照技術 品種

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