養豚廃水を連続曝気式活性汚泥処理する際の溶存酸素濃度制御による窒素除去

タイトル 養豚廃水を連続曝気式活性汚泥処理する際の溶存酸素濃度制御による窒素除去
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門
研究期間 2014~2017
研究担当者 和木美代子
安田知子
福本泰之
Fabrice Beline
Albert Magri
発行年度 2017
要約 養豚廃水の連続曝気式の活性汚泥処理において、曝気槽中の溶存酸素濃度を低く保つことにより、BOD(有機物)除去能力を保持しながら、窒素除去能力を改善し、ブロアーで消費される消費電力量も削減できる。
キーワード 養豚廃水、活性汚泥処理、溶存酸素濃度、活性汚泥モデル、窒素除去
背景・ねらい 養豚廃水には高濃度の窒素が含まれており、水質汚濁防止法への対応の観点から、簡易な窒素除去技術の開発が急務となっている。養豚廃水の多くは活性汚泥処理により処理されているが、窒素除去に配慮した運転管理がされていない場合が多い。そのため、効果的な窒素除去を行うための浄化槽管理手法の情報が求められているが、廃水濃度や設備が多様であるために、廃水処理の理論に基づく指標となる提言が困難であった。そこで、小型廃水処理リアクターの運転および、運転結果を反映させた活性汚泥モデル(Activated Sludge Model 2を改変)を用いた解析を行うことにより、連続曝気式活性汚泥処理における、曝気槽中溶存酸素濃度の窒素除去能への影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. BOD(有機物)/TN(全窒素)比が3である養豚廃水を連続曝気式活性汚泥処理(0.9Lリアクター)する際、従来法の溶存酸素濃度(通常曝気;1.7-2.6mg/L)では、窒素除去が13%以下しか起きないが、溶存酸素濃度を0.04-0.08mg/L(低溶存酸素濃度)程度に保つことにより61-88%の窒素除去が起きる(図1、棒グラフ)。また流入水中のBOD 2000mg/Lは処理水中では129mg/L以下となり、両条件で十分低減化される。
  2. 実験結果に基づき活性汚泥モデルの係数を決定し、このモデルを用いてフルスケール(60m3)、BOD/N比3、20°C、BOD容積負荷0.5kg/m3/day(図2)、曝気槽中SS濃度5000mg/Lについてシミュレーションを行うと、曝気槽中溶存酸素濃度が0.03-0.07mg/Lにおいて、85-96%の窒素除去が起こる(図3)。この際の窒素除去は、流入水中NH4+がNO2-まで酸化され同時に脱窒反応がおこる、亜硝酸経由(硝酸を経由しない)硝化・脱窒同時反応による(図3)。また、BODはいずれの条件でも除去率98%である(図3)。
  3. 設定溶存酸素濃度になるよう曝気の強さを設定してシミュレーションを行った結果、曝気に必要な消費電力量は従来法(溶存酸素濃度2mg/L)に比べて、30%削減できる(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は既設の連続曝気式活性汚泥処理施設にて、高度処理を導入しなくても窒素除去効率を改善できる可能性を示すものであり、その際の溶存酸素濃度制御(曝気制御)技術への活用が見込まれる。
  2. 本実験および計算は攪拌速度の速い小型リアクターでの試験結果であり、フルスケールプラントにおいては汚水の攪拌がゆるやかになり酸素の拡散が遅くなることから窒素除去が起こる溶存酸素濃度は若干上昇すると考えられる。
  3. 低溶存酸素濃度におけるBODおよび窒素除去の現象は、活性汚泥が存在する条件で曝気をしていても低い溶存酸素濃度になっている場合のことであり、活性汚泥が存在しないもしくは、曝気をせずに溶存酸素濃度が下がっている状況を示すものではない。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nilgs/2017/nilgs17_s13.html
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