近年の急性型豚丹毒の発生は遺伝学的に近縁な集団株が原因である

タイトル 近年の急性型豚丹毒の発生は遺伝学的に近縁な集団株が原因である
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門
研究期間 2017
研究担当者 小川洋介
白岩和真
小椋義俊
大岡唯祐
西川明芳
江口正浩
林哲也
下地善弘
発行年度 2017
要約 国内で急性型豚丹毒を発症した豚から分離された強毒株の全ゲノム解析を行ったところ、2007年以降に分離された株は、近年中国で分離された株と遺伝学的に近縁であり、それらは系統学的に大きく分けて九州型と本州型とに分類される。
キーワード 豚丹毒、急性型、全ゲノム、遺伝子型、系統
背景・ねらい 動物の豚丹毒菌感染症は、近年、北米の北極圏での野生偶蹄類の大量死の原因となり、また、EU諸国ではこれまで発生が少なかった養鶏産業での発生が問題化している。極東アジアでは、近年、日本及び中国でも豚での急性型の発生が急増しているが、その発生要因は分かっていない。本研究では、国内分離菌の全ゲノム解析に基づく系統解析を行い、2008年以降に国内で急性型の豚丹毒が増加している要因を探る。
成果の内容・特徴
  1. 1990年から2011年の間に国内の16県で(亜)急性型豚丹毒を発症した豚から分離された合計34株(図1)、および、生ワクチン株であるKoganei 65-0.15株のドラフトゲノム配列を取得する。また、近年、中国で分離された2株について、データベースよりそれらのゲノム配列を取得する。
  2. 得られたゲノム配列を、完全ゲノム配列が決定されているFujisawa株の配列にマッピングを行うことにより、上記株のゲノム全体にわたる一塩基多型(SNP)を決定、抽出し、系統樹を作製する(図2)。
  3. 図2に示すとおり、国内株と中国株はすべて、遺伝学的に近縁であること、また、現在、極東アジアで流行している株は共通の祖先を起源とすることが分かる。
  4. 国内分離株は年代毎にI、II、IVの系統集団を構成するが、2007年以降に分離された株はすべて系統IVに属し、さらに、九州株と本州株とでそれぞれ亜集団IVb-1及びIVb-2を構成することが分かる。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は国内の豚丹毒発生の疫学解析に利用できる。
  2. 極東アジアで流行している豚丹毒強毒株は遺伝学的に近縁であったことから、この地域における豚の細菌性病原体の伝搬・移動に関しても調査を行う必要がある。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/niah/2017/niah17_s06.html
カテゴリ データベース

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