タイトル |
特性曲線法による水撃圧解析へのLagrange補間の適用 |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究部門 |
研究期間 |
2014~2017 |
研究担当者 |
浪平篤
髙木強治
中矢哲郎
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発行年度 |
2017 |
要約 |
特性曲線法によるパイプラインの水撃圧解析において、空間刻み/時間刻み=圧力伝播速度に設定できない場合であっても、計算点の間の物理量の推定に3次Lagrange補間を適用すれば、前述の設定が可能な場合とほぼ同じ精度の解析結果が得られる。
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キーワード |
パイプライン、水理設計、水撃圧、特性曲線法、補間
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背景・ねらい |
パイプラインシステムの水理設計における水撃圧の予測は数値解析によることが望ましいとされており、水撃圧解析が可能なパイプラインの非定常流の数値解析手法の中では特性曲線法が最も実用化されている。この方法は、時間刻みに対する空間刻みの比を圧力伝播速度と等しく設定できる場合は、高い精度で解析できるが、実務的な水理設計ではそのように設定できない場合の方が多く、計算点の間の物理量の推定が必要となる。補間方法としては、最も容易な線形補間でピークが減衰して正確に予測できず、非常に高精度であるSpline補間やHermite補間では物理量の空間微分を算出する必要があるため計算が煩雑となり、実務的な水理設計で普及しうる簡易さと高精度を有する補間方法は確立されていない。そこで、一般的な補間方法である3次Lagrange補間の有効性の検証を行う。
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成果の内容・特徴 |
- 特性曲線法による水撃圧解析において、時間刻みΔtに対する空間刻みΔxの比を圧力伝播速度aと等しく設定できない場合、すなわち、Δx/Δt=aに設定できない場合(図1)の計算点の間の物理量(HL、QL、HR、QR)を推定する方法として、一般的な補間方法である3次Lagrange補間を適用する(図2)。ただし、分合流地点や上下流端等の境界近傍では、補間に必要な計算点が不足するため、線形補間を適用する。
- 上記1の補間を行う特性曲線法による水撃圧解析を、上流端が水槽、下流端がバルブである単一管路におけるバルブ閉塞問題(図3)を対象に行う。比較のため、線形補間のみを適用した特性曲線法による水撃圧解析も実施する。条件として、水槽の水位を20m、管の長さLを100m、管の径を2m、管の摩擦損失係数を0.02、管内の初期流量を20m3/s、圧力伝播速度aを1,000m/sに設定する。バルブ地点では、ある時間Tvで直線的に開度を閉塞させ、放流量については一般的な算出方法である開度と圧力水頭の関数とする。Tvは急閉塞(Tv<L/a)と緩閉塞(Tv>2L/a)の2パターンを設定する。
- バルブ地点における圧力水頭の経時変化(図4)を比較すると、線形補間を適用した場合とは異なり、Lagrange補間を適用した場合は、TvやΔx/Δtとaの関係に拘わらず、数値粘性による圧力水頭の減衰はほとんど生じず、Δx/Δt=aに設定できて補間が不要の場合とほぼ同様の結果が得られる。
- 図4のうち最も減衰が生じたケース(Tv=0.1s、a=0.25Δx/Δt)を対象として、t=3sにおける圧力水頭の空間分布について、Δx/Δt=aに設定できて補間が不要の場合との相対誤差を調べると、3次Lagrange補間の場合は4.0%であり、線形補間の場合の32.2%よりも大幅に改善する(図省略)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果の活用者は、土地改良事業においてパイプラインの実務的な水理設計に携わる農林水産省や都道府県の技術系職員や民間の設計会社職員等の農業土木技術者である。
- 分合流や口径の変化を多く含む複雑なパイプラインシステムを対象とした検証は、今後の課題である。
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nire/2017/nire17_s02.html
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カテゴリ |
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