地震・豪雨時のため池の災害情報共有のための「ため池防災支援システム」

タイトル 地震・豪雨時のため池の災害情報共有のための「ため池防災支援システム」
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究部門
研究期間 2015~2017
研究担当者 堀俊和
梶原義範
吉迫宏
重岡徹
正田大輔
泉明良
堀部幸祐
古島広明
矢﨑澄雄
安芸浩資
発行年度 2017
要約 地震・豪雨時のため池の決壊予測情報をリアルタイムにインターネットで配信する災害情報システムである。また、ため池管理者等により現地で入力された実際の被害状況を、インターネットを通じて関係する防災機関に即座に情報共有することもできる。
キーワード ため池、決壊予測、災害情報システム、情報共有、避難対策
背景・ねらい 東日本大震災では福島県の藤沼ため池が決壊し8名の尊い命が失われた。地震発生からため池の水が下流を襲うまで約30分の時間があったが避難を行うための危険度情報が十分に伝達できなかった。また、音声通話が困難となり、関係機関の庁舎が被害を受けてメール等の連絡もできなくなったことから、ため池決壊の情報が農林水産省に伝達されるのに約9時間かかった。人的被害を防止し、迅速な災害支援を行うことを目的として、地震・豪雨時にため池の決壊をリアルタイムに予測し、その情報をインターネットやメールを通じて配信するとともに、ため池現地で得られた実際の被害情報を全国の防災関係者に情報共有する災害情報システム「ため池防災支援システム」を開発する。
成果の内容・特徴
  1. ため池防災支援システムは、インターネットに接続できる端末(PC、スマートフォン、タブレット)で閲覧、情報入力する地図情報システムである(図1)。
  2. 全国の防災重点ため池及び受益面積0.5ha以上のため池約10万箇所の諸元情報がデータベースとして格納されており、ため池の規模や防災重点の指定など様々な項目で検索して地図上に表示できる。
  3. 地震の場合は地震発生から30分以内、豪雨の場合は現在時刻から6時間後(精度の低い情報は最長183時間後)の決壊予測情報をシステム内で自動解析して、インターネットおよびメールによって配信することができる(図2)。九州北部豪雨災害では、予測結果と実際の被害とを比較し、十分な予測精度があることが確認されている。
  4. ため池決壊時の氾濫浸水域を作成し、地図上に表示できる。ため池防災支援システムは、防災科学技術研究所の府省庁連携防災情報共有システム(以下、SIP4D)と連接しており、リアルタイムの気象情報、地震情報、道路通行止め情報、避難所情報など他省庁や自治体の情報を取り込んで一つの地図画面上に表示できる(図3)。
  5. ため池防災支援システムからダウンロードできるスマホアプリを用いて、ため池管理者等が現地で予測情報を閲覧し、被害状況を簡易に入力することにより、国・自治体等の関係機関の間で決壊の有無を即座に情報共有することができる(図4)。
  6. システムが提供する決壊予測情報を、自治体によるため池下流域の避難対策や効率的な緊急点検、貯水位低下などの緊急対策の判断に活用できる。また、システム内で仮想的な災害を発生させることによって、防災訓練やため池の危険度算定・診断などの事前防災にも活用できる。ため池の災害情報は防災科研のSIP4Dを通じて、他省庁にも情報共有され、大災害時の支援対策にも活用される。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:国、自治体、ため池管理者等の防災関係機関
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:ため池がある全国の地域
  3. その他:ため池情報支援システムへのアクセスには、IDとパスワードが必要である(ID・パスワードについては農研機構までお問い合わせください)。ため池情報支援システムのマニュアルは農研機構ホームページからダウンロードできる(http://www.naro.affrc.go.jp/nire/introduction/chart/0402/0402_01.html)。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result090/2017/17_071.html
カテゴリ データベース

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