広食性や殺虫剤抵抗性の機構解明等に有用なハスモンヨトウのゲノム情報

タイトル 広食性や殺虫剤抵抗性の機構解明等に有用なハスモンヨトウのゲノム情報
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門
研究期間 2013~2017
研究担当者 上樂明也
塩月孝博
門野敬子
Cheng Tingcai
Wu Jiaqi
Wu Yuqian
Chilukuri V. Rajendra
Huang Lihua
山本幸治
Feng Li
Li Wanshun
Chen Zhiwei
Guo Huizhen
Liu Jianqiu
Li Shenglong
Wang Xiaoxiao
Peng Li
Liu Duolian
Guo Youbing
Fu Bohua
Li Zhiqing
Liu Chun
Chen Yuhui
Tomar Archana
Hilliou Frederique
Montagne Nicolas
Jacquin-Joly Emmanuelle
d'Alencon Emmanuelle
Seth K. Rakesh
Bhatnagar K. Raj
Promboon Amornrat
Smagghe Guy
Arunkumar P. Kallare
岸野洋久
Goldsmith R. Marian
Feng Qili
Xia Qingyou
三田和英
発行年度 2017
要約 ハスモンヨトウのゲノム配列では、苦味受容体および解毒分解酵素をコードする遺伝子が大幅に増加しており、広食性や殺虫剤抵抗性の発達に寄与していると考えられる。
キーワード ハスモンヨトウ、ゲノム情報、広食性、殺虫剤抵抗性、苦味受容体、解毒分解酵素
背景・ねらい チョウ目ヤガ科のハスモンヨトウ Spodoptera lituraは100種以上の作物を食害可能な広食性と様々な殺虫剤に対する抵抗性を兼ね備えた東アジアの重要農業害虫であり、日本ではダイズの大害虫として知られている。特にダイズの主要産地である九州地方ではダイズの作付面積に対するハスモンヨトウの発生面積が9割近くとなる年もあり、大発生による多大な被害が問題となっている。本研究では、日本を含む国際コンソーシアムの活動でハスモンヨトウのゲノム配列を解読して、広食性や殺虫剤抵抗性の発達等に関連する遺伝子を網羅的に解析することにより、これらの機構解明につながる重要な知見を得ることを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. ハスモンヨトウのゲノムサイズは438Mbであり、15,317個の予測遺伝子が存在している。
  2. ハスモンヨトウのゲノム配列では味覚受容体の一種である苦味受容体遺伝子が223個存在しており、単食性のカイコBombyx moriと比較して大幅に増加している(表1)。
  3. ハスモンヨトウのゲノム配列では解毒分解酵素遺伝子のうち、チトクロームP450、カルボキシルエステラーゼ(COE)、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)の各遺伝子ファミリーがカイコと比較して大幅に増加している(表2)。一方、ABCトランスポーターおよびアミノペプチダーゼN(APN)の遺伝子数はカイコとほぼ同等となっている(表2)。
  4. 遺伝子数が大幅に増加している各遺伝子ファミリーでは多数の増加した遺伝子が局所的に並んでいるクラスタ領域が存在している(図1)。これらの領域における一部の遺伝子の発現をRNA干渉作用(RNAi)により抑制すると、ネオニコチノイド剤(イミダクロプリド)に対する感受性が向上する(図2)。
  5. 苦味受容体遺伝子および解毒分解酵素遺伝子の大幅な増加は、様々な作物がもつ昆虫に対する防御物質や殺虫剤の識別および無害化を可能とし、ハスモンヨトウの広食性および殺虫剤抵抗性の発達に寄与していると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究の成果は、ハスモンヨトウの広食性および殺虫剤抵抗性の機構解明につながる重要な知見である。
  2. 広食性および殺虫剤抵抗性に関連する遺伝子等をターゲットとして、難防除害虫に対する新規の防除手法開発につながることが期待される。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nias/2017/nias17_s02.html
カテゴリ 病害虫 カイコ 害虫 大豆 抵抗性 防除

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