硝酸イオンの窒素・酸素安定同位体比の迅速測定法

タイトル 硝酸イオンの窒素・酸素安定同位体比の迅速測定法
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター
研究期間 2011~2016
研究担当者 箭田佐衣子
中島泰弘
板橋直
朝田景
吉川省子
江口定夫
発行年度 2017
要約 硝酸イオンの窒素・酸素安定同位体自然存在比の前処理システムを改良した、分析時間を従来の約半分(世界最速)に短縮する測定法である。これにより、分析時間の短縮とランニングコストの削減が可能となる。
キーワード 硝酸イオン、安定同位体、硝酸態窒素、脱窒、富栄養化
背景・ねらい 流域内での硝酸イオン(NO3)の起源や形態変化の解明には、窒素・酸素安定同位体自然存在比(δ15NNO3とδ18ONO3)を用いた手法がよく使われているが、従来の分析法では1試料当たり約34分かかり、分析点数の制限要因となっている。多数の試料を効率的に分析するには、分析時間の短縮とランニングコストの削減が必要となる。そこで同位体比質量分析装置(IRMS)の前処理システムを改良することで、分析時間の大幅な短縮を目指す。
成果の内容・特徴
  1. 従来法では、NO3を脱窒させて生成した一酸化二窒素(N2O)ガスをパージし、液体窒素で濃縮(濃縮フェーズ、ループポジション)後、GCラインに移動(移動フェーズ、ベントポジション)し、GCカラムを通過(分離フェーズ、ループポジション)することによりN2Oガスを分離精製し、IRMSに導入して同位体比を計測した後、カラムの洗浄(洗浄フェーズ、ループまたはベントポジション)を経て次の試料の分析を開始している(図1、図2)。
  2. 改良点1:パージガスに窒素ガスを用いることでヘリウムガス消費量を抑えることができる(図1)。窒素ガスは移動フェーズ中に除去され、分析には影響がない。
  3. 改良点2:針長を長くした自作の2穴あき注射針で液相からパージすることにより液相中のN2Oガスまでパージすることができる(図1)。
  4. 改良点3:GCカラムでの分離フェーズ中に次の試料の濃縮フェーズを開始することで、分析サイクルを短縮することができる(図2)。
  5. 改良点4:バルブ2を追加することにより、短時間でGCカラムのバックフラッシュ(逆洗浄)を完了することができる(図1、図2)。
  6. タイムスケジュールの最適化(改良点3)および逆洗浄(改良点4)により、従来法で1試料当たりの分析時間を約17分に短縮することができる。
  7. パージガスの変更(改良点1)および分析時間の短縮(改良点3、4)により、液体窒素およびヘリウムガス消費量をそれぞれ51%および90%削減することができる。
  8. 分析精度は、δ15NNO3については0.1~0.4‰、δ18ONO3については0.1~0.7‰であり、従来法の分析精度(それぞれ、0.2‰および0.34~0.95‰)と変わらない。
成果の活用面・留意点
  1. 特定のメーカーやシステムに依存しない手法であり、分析ニーズにあわせた時間調整により柔軟な運用が可能。
  2. NO3の分析に限定することなく、様々なガス種の分析にも応用が可能。
  3. 本法は、水利用システムが複雑な水田流域等における窒素動態の解明研究に役立つことが期待される。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/niaes/2017/niaes17_s18.html
カテゴリ コスト 水田

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