水田水管理による温室効果ガス削減のためのMRV実施ハンドブック(英文)

タイトル 水田水管理による温室効果ガス削減のためのMRV実施ハンドブック(英文)
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター
研究期間 2013~2017
研究担当者 南川和則
山口哲由
常田岳志
須藤重人
八木一行
発行年度 2017
要約 MRV(算定・報告・検証)とは、温室効果ガスの排出権取引等の制度的な排出削減計画で必須とされる、排出量の正確性や信頼性を確保する一連の過程である。本書は、水田水管理を対象としたMRV方法論の開発に必要な基礎的情報を提供する。
キーワード 温室効果ガス、温暖化緩和策、水田水管理、MRV、排出削減制度
背景・ねらい 農業分野における温暖化緩和策の社会実装(生産者への普及や行政施策への反映)は十分に進んでおらず、実質的な温室効果ガスの排出削減のために一層の促進が期待される。2016年に発効したパリ協定においても、排出権取引や途上国における適切な緩和行動(Nationally Appropriate Mitigation Action, NAMA)等の制度的な排出削減計画の活用が謳われている。特にアジアの水稲生産国では、水田からのメタン排出が温室効果ガス総排出に占める割合が大きく、制度的な排出削減計画への期待が大きい。しかし先行する工業分野と比べ、農業分野では制度の実施に必須となるMRV(Monitoring, Reporting, and Verificationの略称、図1)の方法論が十分に確立されていない。そこで、潅漑水田からのメタン排出削減を制度的に実施することを想定し、水管理によるメタンの排出削減プロジェクトを対象としたMRVの英文手引き書を作成し、NAROとGRA(Global Research Alliance on Agricultural Greenhouse Gases)のウェブページで公表する。
成果の内容・特徴
  1. 本書は、序章と本編5章から構成される(表1)。MRV方法論の厳密な制度設計が必要となる排出権取引等を想定して科学的・定量的な記述を重視するとともに、制度設計上の現状の問題点を提示している。
  2. 温暖化緩和効果に加え生産者にとって何らかの利点のあることが、緩和策の実施・普及への近道である。序章において、緩和策の社会実装に向けた取組方法を、自発的、半制度的、制度的という3つに類型化し、それぞれの特徴を示すとともに(表2)、制度的取組について排出削減に対する量的重要性を示している。
  3. 水田はメタンの面的排出源であり、その排出量は時空間的に大きく変動する。3章において、水管理の実施によるメタン排出削減率は、様々な原因から生じる不確実性を考慮して、保守的に算定する必要があることを明記している。
  4. MRVを実施するためのコストは、算定の正確性とのバランスを考慮しつつ、今後も減らしていくことが必要である。3章では、現地での測定結果を基にした排出係数を用いる算定方法に加えて、近年注目される数理モデルを用いた算定方法について紹介している。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:排出権取引やNAMA等の制度的な排出削減計画を行おうとする国内外の行政機関、検証過程の第三者業務を行おうとする民間企業
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:水田メタンが大きな温室効果ガス排出源であるアジアの水稲生産国をはじめとする世界各国
  3. その他:本書は、国連機関(UNFCCC、FAO)を含む5人の国際的なMRV専門家から査読を受けている。ガス排出量の測定法については、「水田から排出される温室効果ガスの手動チャンバー法による測定手法ガイドライン(英文)」(http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/techdoc/mirsa_guidelines.pdf)の併読が望ましい。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result100/2017/17_064.html
カテゴリ コスト 水田 水稲 水管理

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