普通ソバ難脱粒系統の登熟中およびコンバイン収穫時に発生する子実損失

タイトル 普通ソバ難脱粒系統の登熟中およびコンバイン収穫時に発生する子実損失
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2012~2015
研究担当者 森下敏和
鈴木達郎
発行年度 2017
要約 普通ソバのグリーンフラワー型の難脱粒系統は、収穫遅れや風雨などの脱粒が多発する条件において自然脱粒の抑制やコンバイン収穫の脱穀選別損失の軽減することから子実損失を抑制でき、今後の品種開発に有用な育種素材である。
キーワード 普通ソバ、難脱粒、コンバイン収穫、子実損失、自然脱粒
背景・ねらい ソバの収量は他の主要作物と比較して低いため、安定多収は重要な課題である。普通ソバ(Fagopyrum esculentum L.)の収量の不安定化要因として湿害、地力悪化、雑草との競合、訪花昆虫の不足、脱粒などが挙げられる。例えば大規模ソバ産地では全てが収穫適期に収穫できるとは限らず、収穫が遅くなるに従い自然脱粒による損失の発生リスクやコンバイン損失リスクが高くなる。農研機構は、その対策としてグリーンフラワー型の「難脱粒系統」の利用に向けて基本特性を明らかにしてきた(2012年度研究成果情報http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/harc/2012/320d0_02_03.html)。
しかし実際栽培における「難脱粒系統」の子実損失特性、特にコンバイン収穫時の軽減効果に対する評価は明らかにされていない。そのため2か年の特徴的な気象条件下における「難脱粒系統」(「芽系35号」)の結実から収穫に至る子実損失から、損失特性を明らかにし今後の難脱粒性のソバ品種育成に役立てる。
成果の内容・特徴
  1. 普通ソバ子実の損失は結実から収穫までの間に脱粒する'自然脱粒損失'、収穫の際にコンバインと作物の接触によって生じる'頭部損失'、子実が脱穀や選別されずにコンバインから排出される'脱穀選別損失'、および収穫されずに圃場に残る'刈り残し損失'に分けることができる(図1)。
  2. 2013年は、標準刈り(黒化率90%)の前に風速約15m/sの強風、遅刈(黒化率95%以上)の直前に台風による90mm以上の日降水により、自然脱粒し子実損失が大きい(図2、3)。一方、2014年は風雨が少なく損失も少ない。このことから、普通ソバの子実損失は収穫前の風雨の影響を強く受ける。
  3. 風雨による影響が少ない場合、コンバイン標準刈りした「難脱粒系統」は脱穀選別損失が多いが、遅刈した「難脱粒系統」は「キタワセソバ」よりも子実損失が少ない(図3)。遅刈の場合、「難脱粒系統」の'頭部損失'は増加するが、'自然脱粒損失'は「キタワセソバ」より明らかに少ない(図3)。これらのことから「難脱粒系統」は「キタワセソバ」よりも子実損失を抑制できる有用な育種素材である。
  4. 「キタワセソバ」の自然脱粒した子実の形態は、ほとんどが単粒であるが、「難脱粒系統」は単粒と花房粒の両方が混在する(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 難脱粒性品種の開発および栽培・調製方法の改良に対する基礎的知見となる。
  2. 本試験はソバ収穫に設定した汎用コンバイン(Kubota ARH350、走行速度0.8km/h)を用いて北海道農業研究センター芽室研究拠点の試験圃場で実施した。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/harc/2017/harc17_s08.html
カテゴリ 病害虫 育種 雑草 湿害 そば 品種 品種開発

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