車速連動ブロードキャスタの播種作業への適用による水稲乾田直播栽培の省力化

タイトル 車速連動ブロードキャスタの播種作業への適用による水稲乾田直播栽培の省力化
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2011~2017
研究担当者 宮浦寿美
澁谷幸憲
村上則幸
発行年度 2017
要約 車速連動ブロードキャスタを水稲乾田直播栽培での播種作業に適用できる。適正な作業幅は約8mであり、一般的なグレーンドリルによる播種作業に比べて所要時間を約1/3に短縮できる。表面散播での苗立ち率は砕土率の影響を受けにくく、耕起作業の省力化も期待できる。
キーワード イネ、乾田直播、散播、ブロードキャスタ、高精度高速施肥機、苗立ち
背景・ねらい 北海道において農家の高齢化や担い手不足により農地の集積が進み、農業経営の大規模化が進んでいる。大区画水田における水稲の省力作業技術体系として、作業速度の速い麦用のグレーンドリルを用いた乾田直播栽培が広く導入されているが、今後の水稲の超省力栽培に向けては、条播以上に高能率な作業を可能とする散播栽培技術の高度化が期待されている。そこで、緊プロ事業で開発され市販されている高精度高速施肥機(ブロードキャスタ)を水稲の乾田直播栽培の播種作業に適用し、種籾の散布精度や播種作業体系の省力化の可能性について明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 供試したブロードキャスタは、(株)IHIアグリテック社製GPSナビキャスタ(MGC600PN)である。車速連動散布制御機構が搭載されており、GPSから得られる対地速度と肥料の流動性に応じて繰出量を制御する機能を持ち、適応トラクタは33~59kW(45~80PS)、作業速度は4~10km/hである。また、2010年度普及成果情報「GPSの速度情報と肥料の流動性により繰出量を調節できるブロードキャスタ」(http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/2011/a00a0_01_91.html)において、本機の仕様等が公開されている。
  2. 乾籾種子を用いた散布量5~10kg/10aの設定において、ブロードキャスタから繰り出される種籾のうち4~5%に脱ぷが認められるが、発芽率は繰り出し前とほぼ同等であり、種籾損傷に及ぼす大きな影響は認められない(表1)。
  3. 本機での水稲乾籾播種において適正と考えられる散布幅は約8mである。1行程のみの散布では、散布幅両端の散布量は機体の中心部より少なく、風の影響による左右の偏りが認められる場合もあるが(図1-A)、重ね合わせにより散布分布のばらつきは小さくなる(図1-B)。また、作業速度の違いが播種量の変動に及ぼす影響は小さい。
  4. 本機は水稲籾の播種作業では作業幅が8mで、一般的な作業幅3mのグレーンドリルに比べて、作業幅が広く作業速度も同等以上であることから、播種作業時間を1/3程度に短縮できる。
  5. 表面散播の場合、砕土率が比較的低い条件下でも50%程度の苗立ち率を確保できることから、播種前の耕起作業等の省力化が期待できる(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 種籾散布においては風の影響を受けるので、強風下での作業を避ける。
  2. 苗立ちの安定化のため、播種後の鎮圧は必要である。また、土壌表面付近に種籾が播かれるため、圃場表面が乾燥しないように水管理する必要がある。
  3. グレーンドリル等による土中条播に比べると倒伏のリスクが高いことから、倒伏抵抗性の強い品種の利用や適正な播種密度の設定等、倒伏防止のための技術と組み合わせる必要がある。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/harc/2017/harc17_s01.html
カテゴリ 肥料 乾燥 乾田直播 経営管理 栽培技術 GPS 省力化 省力作業 水田 水稲 施肥 大規模化 超省力 抵抗性 播種 品種 水管理

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