野生山菜を安全に利用するために

タイトル 野生山菜を安全に利用するために
担当機関 (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 清野 嘉之
赤間 亮夫
発行年度 2019
要約 福島第一原発事故後の 2012 年から 2016 年までの、野生山菜 19 種の放射性セシウム濃度の経年変化の傾向を明らかにしました。
背景・ねらい 福島第一原発事故で野外に放出された放射性セシウムは、放射性崩壊によりその量が減衰しながら平衡状態に向けて生態系内で移動を続けています。山菜には木も草もあり、その種類によって生活様式や物質代謝が異なるので、食用部分の放射性セシウム濃度やその経年変化の傾向も山菜の種類によって異なると考えられます。野生山菜19種について事故の翌年から5年間、放射性セシウム濃度を調べました。その結果、13種は濃度が低下、3種は濃度が上昇しており、増減が不明瞭で放射性セシウムの吸収と排出がつりあっているように見えるのは3種でした。今後も、濃度がどのように推移していくのかを見きわめるために、調査の継続が必要です。
成果の内容・特徴
はじめに
 東京電力福島第一原子力発電所事故により野外に放出された放射性セシウムは、放射性崩壊により減衰しながら、平衡状態に向けて生態系内で移動を続けています。山菜には木も草もあり、その種類によって生活様式や物質代謝が異なるので、植物が取り込んだ放射性セシウムの食用部分における濃度やその経年変化の傾向も山菜の種類によって異なると考えられます。
野生山菜の放射性セシウム濃度の経年変化
 2012年から2016年まで、300種以上の野生山菜の放射性セシウム濃度を調べ、うち19種については、同じ個体、あるいは同じ群生から春に繰り返して採取を行い、事故から5年間の濃度の変化を明らかにしました (図1)。13種は濃度が低下する傾向にありました。3種は濃度が上昇する傾向にありました。残りの3種は、増減が不明瞭で、放射性セシウムの吸収と排出がつりあっていると考えられました。
食品としての安全性の確保
 野生山菜の放射性セシウム濃度は、山菜の種類や地域、採取年によって異なります。山菜の放射性セシウム濃度を予測し、摂食による内部被ばくのリスクを減らすことが出来れば食生活の安全性の確保につながります。そのため、今回結果をお示ししたモニタリングだけでなく、野生山菜を採取する際に比較的容易に得られる情報 (生育地の空間線量率、生育地は林外か、林縁か、林内か、地表に堆積している落葉・落枝の量は多いか、少ないかなど) にもとづいて、山菜の種類ごとに放射性セシウム濃度の範囲 (上限と下限) を予測するモデルの開発を進めています。
まとめ
 野生山菜として採取される植物種の大半では、事故から5年経過した時点でも放射性セシウム濃度は変動していました。チェルノブイリ事故では、汚染した森林の樹木や土壌中に分散した放射性セシウムの移動が安定するまでに5~10年かかっています。どの山菜がより安全で安定した資源として利用できるのかという情報を的確に提供するために、調査を継続するとともに、植物体の放射性セシウム濃度の移動メカニズムにもとづいた将来予測に取り組んでいきます。
研究内容 https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2019/documents/p10-11.pdf
カテゴリ モニタリング

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